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いかばかり 神もうれしと み笠山 ふた葉の松の 
千代のけしきを

                        周防内侍

 
(いかばかり かみもうれしと みかさやま ふたばの
 まつの ちよのけしきを)

 

意味・・どんなにか春日の社の神もうれしくご覧になっ
    ているだろうか。三笠山の双葉の松のように千
    代を約束されている若々しい中将の姿を。

 

    12才の藤原忠通・中将が摂政左大臣になった時
    にお祝いとして詠んだ歌です。

 

 注・・み笠山=三笠山。奈良市春日野の春日神社の背

      後の山を指す。藤原氏や春日神社を暗示してい
      る。
    ふた葉の松=二葉は芽を出した最初の葉。長寿
     の松に、当時12歳の忠通をたとえる。

 

作者・・周防内侍=すおうのないし。生没年未詳。堀河
    帝に仕える。

 

出典・・金葉和歌集・322。