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米原を 抜けてたちまち 雪消ゆる 深刻になど
なることもなし
                       永田和宏

 

(まいばらを ぬけてたちまち ゆききゆる しんこく
 になど なることもなし)

 

意味・・京都から上京する列車は、雪深い米原を抜ける
    と、たちまち雪が消えて青空が広がる。一気に
    明るくなった車窓の風景に、抱えていた苦悩も
    消え去るような気がして「深刻になる事もない」
    と思い直している。

 

作者・・永田和宏=ながたかずひろ。1945~ 。京大卒。
      京大細胞疾患研究所教授。高安国世に師事。
歌人。

 

出典・・歌集「風位」(杉山喜代子著「短歌と人生」)