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山陰の 岩もる清水 こほりいて をとせぬしもぞ 
冬をつげける
                     頓阿法師

 

(やまかげの いわもるしみず こおりいて おとせぬ
 しもぞ ふゆをつげける)

 

意味・・山陰の岩間から音をたてて洩れていた清水が
    凍りついてしまった。そのさまは音をたてな
    いものの、冬の到来を告げている。

 

    音が無ければ告げられないはずだが、音が無
    くても冬を告げるという面白味を詠んでいま
    す。
    
 注・・しも=強調の助詞。

 

作者・・頓阿法師=とんあほうし。1289~1372。二

            条為世門の和歌四天王。

 

出典・・「頓阿法師詠」(中世和歌集室町編・新日本
          古典文学体系)。