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夏の夜の 月まつほどの 手すさみに 岩もる清水
いくむすびしつ    
                         藤原基俊

 

(なつのよの つきまつほどの てすさみに いわもる
 しみず いくむすびしつ)

 

意味・・夏の夜の月の出を待つ間の手なぐさみに、
    岩間から漏れて流れてくる清水を何度、手
    ですくったことだろう。

 

    思いのほかに遅い月の出を待ちわびる気持
    を表現するとともに、清水の冷たい感触を
    喚起して涼しい風情を添えています。

 

 注・・手すさみ=退屈を紛らわす手業。

 

作者・・藤原基俊=ふじわらのもととし。1060~

       1142。従五位。右大臣俊家の子。

 

出典・・金葉和歌集・154。