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           行く道の 遠くながらも 楽しき散歩道
 

年老いて やうやく遠き 道のすえ いまだ半ばと
わが彳つしばし
                      中西悟堂 

 

(としおいて ようやくとおき みちのすえ いまだ
 なかばと わがたつしばし)

 

意味・・介護されて生きるような年取った老人と
    なってしまったが、かえりみると、成し
    遂げたい事は一通りやり遂げたのである
    が、まだまだ満足出来る姿ではない。


    やり残した事が沢山ある。まだ、遠い道
    のりの、いまだ半ばにいるのである。

    89歳の晩年に詠んだ歌です。

 

 注・・彳(た)つ=たたずむ。ゆっくり歩く。

 

作者・・中西悟堂=なかにしごどう。1895~1984。
     歌人、詩人、野鳥研究家。天台宗の僧。
     日本野鳥の会を設立して野鳥の保護に
     尽力する。

 

出典・・昭和万葉集・第六巻。