1555


 

あまおとめ 刈りほす磯の 荒布にも いくたりつなぐ 
いのちなるらむ
                  野村望東尼
 
(あまおとめ かりほすいその あらめにも いくたり
 つなぐ いのちなるらん)
 
意味・・漁民の少女たちが磯から刈り取ってきて乾している
    あの荒布のようなものによって、何人が辛うじて生
    活を立てていることだろう。
 
    若い女たちが採って来て乾す姿はけっして醜いもの
    ではないが、貧しい人々の生活の哀れさを感じさせ
    られます。
 
 注・・あま=海人。漁師。
    荒布(あらめ)=昆布科の海藻。黒茶色で食用の他、
    肥料、ヨードの原料。
 
作者・・野村望東尼=のむらもとに。1808~1867。黒田藩士
    の家に生まれ、同藩士の妻となる。幕末の女流歌人。
    高杉晋作と交流。
 
出典・・向陵集。