見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の
秋の夕暮れ
           藤原定家(ふじわらのさだいえ)
           (新古今和歌集・363)

(みわたせば はなももみじも なかりけり うらの
 とまやの あきのゆうぐれ)

 
意味・・見渡すと、色美しい春の花や秋の紅葉もない
    ことだなあ。この海辺の苫葺き小屋のあたり
    の秋の夕暮れは。

    春秋の花や紅葉の華やかさも素晴らしいが、
    寂しさを感じさせるこの景色もまた良いもの
    だ。

    この歌は、後に「さび」「わび」と結びついて
    賞賛されています。三夕(さんせき)の一つです。

 注・・浦=海辺の入江。
    苫屋(とまや)=菅(すげ)や茅(かや)で編んだ
    むしろで葺(ふ)いた小屋。漁師の仮小屋。

作者・・藤原定家=1162~1241。新古今集の撰者。

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蛇足・・この歌の意味を例えて見ると。

    春の花  ・・美しくやさしい女性。
    夏の若葉 ・・元気はつらつの若者。
    秋の紅葉 ・・よきリーダーとして部下をひっぱて
            いく企業戦士。
    初冬の草木・・販売がうまくいかない為に「君やる気
           があるんですか」といわれている定年
           まじかの窓際族。ことハットリ君。
    ハットリ君・・今は生活が掛っているから、誰から何
           と言われようと会社は辞められない。
           「もう少しの辛抱だ」「定年になったら
           自分にあった好きな仕事をするぞ」。
           それまで忍、忍だ!忍者ハットリ君だ!

    私から見ると、美しい女性も、元気な若者も、また企業
    戦士も素晴しいものだ。でもハットリ君も私にとっては
    好ましい存在だなあ。何といっても、彼のおかげで、風
    当たりが少ないという事で助かる。また、定年になれば
    生活費を考えなくていいので、上司の目も気にせず、
    自分の好きな仕事が出来るんだ。ハットリ君は。