埋木の 花咲くことも なかりしに みのなるはてぞ
かなしかりける
                     源頼政

(うもれぎの はなさくことも なかりしに みのなるはてぞ
 かなしかりける)

 注・・「みのなる」は「身の成る」と「実の生る」を掛ける
     身の成るはて=死ぬことをさす

意味・・埋れ木に花の咲くことがないように、私も世間から
    うち捨てられ華やかに出世することもなかったが、
    今ここで死んでゆく我が身のなれの果てが悲しい
    ことだ。

    源頼政は1180年高倉天皇の謀反に加わった結果、
    平等院で自害した。
    この時の辞世(じせい・死ぬまぎわ)の歌です。

蛇足・・源頼政の心境は。
    今まで多くの問題があったが、私はこれを解決する
    ためにどんな役割を果たして来たであろうか。
    力を発揮しないままに、朽ち果てて行く事は心残りが
    して、くやしいことだ。

作者・・源頼政=みなもとのよりまさ。1104~1180。非参議
     従三位。平家討伐のため出兵して敗戦し自害する。

出典・・平家物語。