都には まだ青葉にて 見しかども 紅葉散り敷く
白河の関
          源頼政(みなもとのよりまさ)
          (千載和歌集・365)
(みやこには まだあおばにて みしかども もみじ
 ちりしく しらかわのせき)

 
意味・・都を出る時には、まだ青葉である木々を見た
    のであるが、はるばる旅をして来て見ると、
    ここ白河の関には紅葉が一面に散り敷いて
    いることだ。

    陸奥の国白河の関への長い旅の感慨を季節の
    推移によって示している。

   能因法師も同じような歌を詠んでいます。

   「都おば霞とともにたちしかど秋風ぞ吹く白河の関」
    
    (都を春霞が立つころに旅立ったが、もう秋風が
     吹いている。この白河の関では。)

    「月日に関守なし」というが、時のたつのは
    早いものです。

 注・・白河の関=福島県白河市にあった。

作者・・源頼政=1104~1180。非参議従三位。平家
     討伐の軍を起し敗戦し自害。