誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の
友ならなくに      
           藤原興風(ふじわらのおきかぜ)
            (古今集・909、百人一首・34)

(たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつも
 むかしの ともならなくに)

意味・・(こんなに年老いた)私は、いったい誰を親しい
    知り合いととしょうか。昔からの友人は皆、死んで
    しまい、生きながらえているのは、長寿で知られる
    あの高砂の松くらいだが、それも昔の友というわけ
    にいかないし。

    高砂の松に託して、孤独の老人の悲しみを詠んでいる。
    親しい友人を新たに作ろうと思っても、そういう心の
    友は長年の交流によってはくぐまれるもので、老齢の
    自分には出来ない。