ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の
月ぞ残れる
                   藤原実定

(ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただ
 ありあけの つきぞのこれる)

 注・・有明の月=夜明けの空にまだ残っている月。

意味・・ほととぎすが鳴いた方を見ると、(繁栄した
    昔の都の姿はなく)ただ有明の月が残ってい
    るだけである。

作者・・藤原実定=ふじわらのさねさだ。1139~1191。正二位
     左大臣。

出典・・千載和歌集・161。