天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に
出でし月かも 
          安部仲麻呂(あべのなかまろ)
          (古今和歌集・406、百人一首・7)
(あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさの
 やまに いでしつきかも)

意味・・大空を遠く見晴らすと、あれは故国の春日にある
    三笠の山に上った月と同じ月なのだなぁ。

    遣唐使として派遣され仲麻呂が、帰国する時に
    月を見て詠んだ歌です。
    月を見やる視線は、奈良の都で過ごした過去への
    視線です。  

 注・・春日=現在の奈良公園から春日神社のあたり。
    三笠の山=春日神社の後方にある山。

作者・・安倍仲麻呂=698~770。遣唐使として渡唐。
     帰国出来ないまま唐土で没。