9月12日に行った一般質問のご報告4回目。今回は女性支援の充実についてです。

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(かとうぎ桜子)

 女性支援について伺います。

 

「家を出たい」と思っても、そのための支援が不十分

コロナ禍になり、女性の自殺者数が増えています。生きづらさを抱える女性が、コロナ禍で人間関係や生活環境が変わる中でより一層の困難に直面していると考えられます。私も「家族との関係がつらくて家を出たい」「今まで我慢してきた家族からの暴言・暴力にもう耐えられない」というご相談をいただいてきました。

今まで家族と同居してきた人が、今すぐ家を出たい、という場合、いくつもの困難があります。まず、仕事をしていなかった場合、あるいは転居によって仕事を変更しなければならない場合、経済的なよりどころがないため、新しくアパートを借りることが難しい。借りることはできたとしても契約するまでに一定の日にちはかかることが多い、などです。

まずは家族から離れて一度生活環境を落ち着けた上で住まいを探そうと考えた場合、シェルターを活用するという選択肢が考えられますが、携帯電話の使用制限などの行動の制約があり、利用したくないという人もいます。

ではシェルターを使わないならほかに支援策があるかというと、十分ではありません。シェルターを活用しながら心身のケアやその後の生活支援を受けるか、シェルターをあきらめて貯金があればいったんホテル暮らしをするなどほとんどすべて自力で解決するか。選択肢が非常に限られています。

 

今まで不十分だった支援制度が国で検討されている

困難を抱える女性の支援は売春防止法に基づく女性の保護の枠組みで実施されてきたため、女性のニーズをとらえた支援が不十分であるという課題は、以前から指摘されています。困難を抱えた女性の支援を充実させるため、今年、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が新しくできました。2024年度に施行予定です。

国は困難な問題を抱える女性の支援について検討する中で、

・若年女性の支援

・シェルターで携帯電話を使えない問題への対応

・婦人相談所の婦人相談員の処遇改善と人材育成

などを課題としてきました。

 

若年女性支援やシェルターの携帯電話使用の問題などは区としてはどう取り組むか。

そこで伺います。

まず、現在、東京都が民間団体と連携をして、若年女性の支援事業を実施しています。これについて区としてどのように関与してきたか、また、今後はどのように連携を進めていくかをお聞きします。

また、シェルターにおける携帯電話の使用については柔軟な対応をする方向になっているということですが、現状では区の相談窓口やそれぞれの施設でどのような説明、対応がなされているのかをお聞きします。

 

婦人相談員の処遇改善・育成や、法をふまえた女性支援の充実についての見解は。

練馬区では人権・男女共同参画課と福祉事務所に婦人相談員を配置しています。そして、各福祉事務所に配置されている婦人相談員のうちの2名が会計年度任用職員であると伺いました。婦人相談所における婦人相談員の処遇改善と人材育成が国の課題とされていますが、区における婦人相談員の人材育成、処遇改善も同様に課題なのではないでしょうか。区の見解を伺います。

法律は2024年度に施行予定ですが、今後区としては女性支援の充実にどのように取り組み、法施行に対応していく考えかお聞きします。

 

【回答:福祉部長】

都は平成30年度(2018年度)から、様々な困難を抱えた若年女性に対し、アウトリーチや一時的に保護する居場所支援を行う事業を社会福祉法人やNPO法人に委託し、実施しています。

総合福祉事務所では、都事業で一時的に保護された若年女性が、安定した地域生活を送れるよう、都からの情報提供などを受け、連携して居住支援などを実施しています。引き続き、都・事業者と連携して若年女性の支援に取り組んでまいります。

 

次に緊急一時保護施設などにおける携帯電話などの利用についてです。

国は、令和2年、婦人保護施設や婦人相談所一時保護所における携帯電話などの通信機器の使用に関して、入所者の希望に沿った対応するように通知しています。

東京都女性センターの一時保護所や総合福祉事務所などでは、DV加害者による追跡など、 携帯電話などの利用により生じる危険性について説明した上で 加害者に連絡しない、SNSに投稿しないなどの対応のもと、通信機器を使用できることとしています。

 

次に、婦人相談員の処遇および人材育成についてです。

国は、非常勤の婦人相談員を配置する自治体に対し、基準額に基づき補助しています。

本年度、経験年数や期末手当支給に応じた加算を新設し、処遇改善を行っています。

区は、会計年度任用職員の婦人相談員に対し、加算後の基準額と同水準の報酬を既に支給しているため、国が求める処遇は確保しているものと認識しています。また、国や都が実施する専門研修や関係機関との事例検討会に参加するなどにより婦人相談員を育成しています。

 

次に、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」についてです。

本法は、性的な被害や家庭の状況などにより社会生活を営む上で困難な問題を抱える女性を支援するため、本年5月に制定され 令和6年4月に施行されます。同法では、国は施策に関する基本方針を、都道府県は基本方針に即した基本計画を策定することが義務付けられています。また、区は、これらを勘案した上で、基本計画を定めるよう努めることが規定されています。今後、国や都の動向を踏まえ、必要な取り組みについて検討してまいります。

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婦人相談員の処遇については、決算特別委員会の中で同じ会派の高口さんがさらに質問してくださったので、後日紹介したいと思います。