2021年度の最終補正予算に反対し、討論しました。そのご紹介です。

 

インクルーシブな練馬をめざす会を代表して、2021年度練馬区一般会計補正予算に反対の立場で討論をします。

 

今回の補正予算では、特別区税、特別区財政調整交付金、地方消費税交付金が増収となりました。

2021年度当初予算や今までの補正では、積立基金は積み立て目標額に達することができなかったり、取り崩さなければならない状況でしたが、今回の増収に伴い、財政調整基金は取り崩しをとりやめ、減債基金は新たな積み立て、施設整備基金は取り崩しの取りやめと新たな積み立てをし、また起債を減らすという対応をしています。

さらに、運用基金である用地取得基金は2016年度に運用額を減らし、104億5千万円で運用していたものを今回23億7,600万円増額するということです。運用額の増額の理由を区は「みどりを守り、まちの発展に不可欠な事業を推進するため」と説明していますが、用地取得基金はすでに104億5千万円あるのです。増額まですることが今、本当に優先すべきことなのでしょうか。

 

今回の税収増は、企業収益が堅調に推移したことによる、という説明でしたが、長引くコロナ禍での生活実感は非常に厳しいものです。コロナ禍における格差拡大は明らかであり、増収分は格差是正に充てていくべきです。

 

2020年度、コロナの影響を受けて練馬区の財政は危機的な状況にある、として様々な事業の中止や延期をしました。

その中で、配食サービスや紙おむつ支給をはじめとする給付的事業も実質的廃止や対象者の縮小がされました。区民の生活に直結するこのような給付的事業は今回の増収があっても再開はせず、一方で用地取得の運用額を増額するという判断をする、現在の区政の基本姿勢には強く疑問を感じます。

 

コロナ禍における生活困窮者支援のひとつとして、総合支援資金特例貸付と、それを借りた人などを対象とした生活困窮者自立支援金があります。

特例貸付は、コロナ禍となった当初の緊急対応が、コロナ禍の長期化の中で延長されたり改定されながら継続しています。

たくさんの申請がある中、対応する現場では、相談に十分に時間を割くこともできず、制度が頻繁に変わることへの対応もあり、貸付という対症療法的な支援しかできない現状の制度に対する疑問の声も聞かれます。

生活困窮者自立支援金は2021年7月から始まった国の給付事業ですが、貸付が終わった人しか対象にならず、間口が狭いことも課題です。

さらに練馬区では生活困窮者自立支援金が始まった当初4000件が対象となると考えていたものの、収入要件・資産要件があることから、実際には約3分の1の1359件の実績にとどまり、今回の補正予算で1億6380万円の減額となっています。

区のコールセンターには「対象にならなかったことへのご不満、支援の拡充を求める声」があったという説明もありました。

 

このコロナ禍で、生活困窮者自立支援事業は従来のやり方で果たして十分なのだろうか。

 

区長は2021年度予算編成にあたり「コロナ禍を区民とともに乗り越え、区民とともに前に進むため、最大限努力し、区民サービスの水準を確保する予算」

としたはずです。

 

区民に最も身近な基礎自治体として、今、コロナ禍による困難の中にある区民の声に耳を傾け、区民の生活支援と格差是正に最も重点を置いて対応すべきです。

 

区は、「今回の補正では増収だったとはいえ、コロナ以前の水準には戻っていないし、経済状況、国際情勢など考えても楽観視できない」と述べています。

区民生活も厳しい。区政運営も厳しい。であるならばなおさら、今回の増収分は施設整備や用地取得という投資的な部分にあてるのではなく、今後計画的に区民生活の支援に充てられるような財政の計画を立てるべきです。

 

人の生活に焦点を当てた区政への転換を求め、討論を終わります。