3月の議会では今年度の最終の補正予算の審査もしました。コロナ禍での対応をするため、頻繁に補正予算が組まれており、今年度は6回目の補正予算です。

2021年度当初予算では、コロナの影響を受けて財政は厳しいだろうと見込んでいたのですが、今回、134億6937万の増収となりました。

 

 

行政の財政は、毎年の収支だけではなく、将来に備えて貯金をしておくのと同じイメージである、積立基金というものがあります。今回の増収分はこの基金に充てる部分が多かったです。

 

・財政調整基金

 収入が減ったときや災害等への対応に充てるために、積み立てておく基金。練馬区は400億円を目標額としている。コロナ禍で取り崩しが続いたので、今回の増収で取り崩しを減らして400億を維持できるようにした。

・減債基金

 債務の返済を見込んで毎年積み立てているが、コロナ禍の財政難で積み立てができなかったので、今回の増収で積み立てをした。

・施設整備基金

 施設建設、改修・改築に充てる費用を積み立てている基金で、練馬区では280億円を目標額としている。これもコロナ禍の財政難で目標額を下回っていたため、今回、取り崩し額を減らし、積み立てをすることで280億を維持できるようにした。

 

 

これらの積立基金は、貯金と同じようなイメージで、積み立てれば増えるし、使えば減ります。一方、「運用基金」という違う種類の基金として、用地取得基金というものがあります。運用基金は、特定の目的のために定額の運用をするものです。用地取得基金でいえば、使うほど基金から残額が減るという形ではなく、買った土地も金額に換算してその合計額が定額になるよう運用していくのです。

練馬区は、今回の増収に伴い、この用地取得基金を23億7600万円増額するという判断をしました。

その判断に疑問を感じ、質疑をしました。

 

(かとうぎ桜子)

今回の補正予算の中で増収分を用地取得基金の運用額の増額に充てるのはなぜか。

 

今回の補正予算では、特別区税財政調整交付金、地方消費税交付金の増額がありました。

それに伴い、基金の取崩しをやめたり、積立てをする、起債を減らすという対応をされています。

財政調整基金、減債基金、施設整備基金が目標額に達するよう、取崩額を減じたり、積立額を増やされたということですが、用地取得基金については、平成28年度、2016年度に運用額を減額して以来の増額ということです。

先ほどの質疑の中で、「今回は増収だったとはいえ、コロナの前の状況には戻っていないし、長期的には財政は厳しい」という区の見解がありました。

その状況にありながら、今なぜ用地取得基金を増やす必要があるのか、改めてお聞きします。

 

(財政課長)

すでに福祉的施策には積極的に取り組んでいるし、財政調整基金も取り崩しを減額している。長期的な視点に立ち、みどりを守りまちの発展に不可欠な事業を推進していくために今回用地取得基金を増額した。

 

用地取得基金についてご指摘をいただきました。

今回、財政調整基金につきましても、今、委員が言われたとおり、取崩額を減額しております。ここで確保した財源は、後日、区民生活を支える施策の財源としても活用できると区では考えております。

区は、既に様々な福祉的施策については積極的に取り組んでいるところです。

コロナ禍における予算編成となった今年度当初予算においても、緊急対策による事業見直しの中にあっても、福祉や子どもに関する保健福祉費、教育費、子ども家庭費などの予算は全体の7割を占めております。

それは令和4年当初予算においても変わらないところです。

一方で、将来の備えも不可欠であると考えております。

加速する少子高齢化への対応や、老朽化する施設の更新、インフラ整備など、将来を見据えた区政の課題に対応するため、長期的な視点を持って行財政運営を行っていくことが区の責務であると考えております。

長期的な視点に立ち、貴重な財産である練馬のみどりを守るため、また、区民の皆様を豊かにするまちの発展に不可欠な事業を推進していくため、今回、用地基金を増額したものです。

区は、こうした考え方で今回の補正予算の編成に当たったものです。ご理解いただければと思います。

 

(かとうぎ桜子)

用地取得基金はすでに104億5千万円の運用額があるのにあえて今運用額を増やす必要があるのか疑問。投資的な部分に力を入れるより、生活困窮者支援に充てるべき。

 

用地取得基金は、もともと1045千万円という運用額が既にある中で、あえて、今それを増やす必要があるのかという点は疑問に感じております。

今回は、当初予測したよりも増収となった一方で、コロナの収束の見通しが立たない中、生活困窮状態が改善できない人も多くいるのが現状であると思います。

そのような状況の中では、用地取得基金や施設整備基金といった投資的な部分に力を入れるよりも、財政調整基金への積立てを厚くして、来年度以降、区としての生活困窮者支援のための準備に充てるべきではないかと考えるのですが、区の見解をお聞きします。

 

(財政課長

すでに福祉的な経費が予算の7割を占めている。それをやりつつ、将来の備えが不可欠であると考えている。

 

先ほども申し上げましたとおり、区は、既に生活困窮者自立支援などの区民生活を支える施策や、ひとり親家庭の自立応援プロジェクト、あるいは、区独自の給付金など、様々な取組を既に積極的に進めております。

コロナ禍における予算編成の中でも、そういった経費は予算全体の7割を占めているところで、令和4年当初予算でも変わらぬところです。

そういったものをやりつつ、将来の備えは不可欠であると考えています。

繰り返しになりますが、練馬のみどりを守るため、また、安全・安心なまちづくりを進めていくためにも、こういった経費は不可欠であると考えています。

併せて、財政調整基金も、今回、増額をはかっているところです。

こうした経費は、来年度以降、また不測の事態が生じたときに様々な施策に活用できるものと考えています。

 

(かとうぎ桜子)

コロナ禍の財政悪化を理由に区民の生活に関わる給付的事業は削減し、増収になったら用地取得を厚くする判断は疑問。今こそ区民の生活サポートにより手厚く対応できるようにすべき

 

昨年度は、コロナ禍の財政状況の悪化で様々な事業を止めざるを得ないということで、配食サービスや、おむつをはじめとした様々な給付的な事業も抑えましたので、その影響を受けて苦労されている区民がいます。

それで、今回区が増収になったら、給付に関しては戻す判断をせず、用地取得を手厚くするという判断をしたことには疑問を感じます。

今こそ、区民の生活へのサポートにより手厚く対応できるようにすべきであると申し上げて、次の質問に移ります。¥