秋の区議会では、2021年度補正予算と2020年度決算の質疑がありました。
今まで一人会派で1回あたり6分の質問を全部やっていましたが、5月に5人で会派を組んだので、役割分担をして、全回質問する形ではなくなりましたが、一回あたりの質問時間が長くなりました。(今回はコロナ対策として本来の時間よりは短くなったのですが、20分の質問時間でした。)
私は総務費と保健福祉費で質問しましたので、これから数回に分けてご紹介します。
太字は言わんとしていることをまとめたもの、そのあとに続く文章が実際の質疑内容です。
やり取りの中で、最大職員数を抱えることは地方自治法の趣旨に反するという答弁があります。まず私は最大限職員を抱えろとは言っていません。必要な職員は安定雇用できるようにしろと言っているのです。
また、地方自治法がなぜ出てきたかというと、どうやら法の文言に「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」「地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。」ということがあるからのようです。
しかし、必要な公共の役割を果たすために専門職を非正規化することは果たして「適正化」といえるのでしょうか。
人材をコストととらえるのか、財産ととらえるのか、区としての姿勢が問われます。
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(かとうぎ桜子)
2020年度から非常勤・臨時の公務員が「会計年度任用職員」と呼ばれる制度がスタートした。
この非正規公務員のうち、9割近くが女性である。女性の貧困を助長しているのでは?
会計年度任用職員人件費について伺います。
2020年度から、従来の非常勤臨時職員の制度に代わって、会計年度任用職員の制度がスタートしました。
2020年度の会計年度任用職員は2,688人で、そのうち2,338人が女性である。9割近くが女性ということで、明らかにジェンダーバランスの偏りがあると思います。
この点について、区は以前の議会で「男女別の募集を行っているわけではなく、能力主義で採用しており、恣意的に行っているわけではない」という答弁をしていますが、それを非正規雇用の9割が女性となっていることの言い訳にしていいのだろうかと思います。
逆に言えば、女性が就く傾向の高い専門職が非正規化されており、女性の貧困を助長しているとも言えるのではないかとも考えています。
改めて、区の認識を伺います。
(職員課長)
男性だから、女性だからということでの採用はしておらず、適正な選考をした結果である。
会計年度任用職員の任用に当たりましては、これは当然地方公務員法の考えでございます。
平等取扱いの原則、また成績主義の原則により、選考を行ってございます。適正な選考の結果だと考えてございます。
(かとうぎ桜子)
相談員や有資格者などの専門職が非正規である合理的な理由があるのか?
会計年度任用職員の職種を見ると、例えば相談員や精神保健福祉士の資格を持つ人、それから司書など、専門性の高い職種が多く、そこには女性が就くことが多いということがあると思います。
2019年4月1日に任用された非常勤職員の方1402人のうち、906人の方は勤務年数が5年未満ということでした。
会計年度任用職員制度は、現状で公募無しで再任するのは4年までということで、より一層短期の不安定雇用を助長することを懸念しています。
このような、長期にわたり安定して働けない状況は問題であるのではないかと考えています。以前の議会では、「常時勤務を要しない職として、また常勤職員が要しない特定の知識や経験、資格が必要な職として設置しているので、常勤化する考えはない」という答弁がありました。
しかし、例えば福祉事務所だとか、男女共同参画センター、保健相談所、図書館や学校などで、区民の抱える深刻な困り事に対応する専門職が、常時勤務を要しない職種とどうして捉えられてしまうのだろうかと思います。
なぜ、このような専門職の常勤化を積極的に検討していないのか、区の考え方をお聞きします。
(職員課長)
会計年度任用職員制度ができる際に、職務内容、責任の度合などで設定している。その職を正規職員にするつもりはない。
会計年度任用職員の職でございます。
移行に当たりまして、職務の内容また責任の程度、度合について、常勤職員の職と異なる設定をしています。
会計年度任用職員への移行に当たりましては、業務の内容などを踏まえまして、また総務省のマニュアルに従って、当該業務をどの職場に担うことが適切かも検討し、制度移行をしています。会計年度任用職員の職を正規職員の職とすることは考えていません。
(かとうぎ桜子)
コロナ第5波で困難をきわめた保健所体制も、緊急的に非正規の保健師が支えている。地域にとって必要な対応を非正規に頼る体制は見直すべき。
今回のコロナ禍で、保健所を121名の体制にしたという説明がありました。
補正予算でもとりあげましたけれども、その中で11名の保健師が会計年度任用職員、保健師6名と事務42名が人材派遣での対応です。
今回のコロナ禍の緊急事態は、今後も起こり得ると思いますし、また災害対策なども求められている。
保健師に関していえば、地域包括ケアなど、地域の福祉充実のための対応ということも一層大きくなっていく中で、専門的な対応が求められる職種で不安定雇用に頼らざるを得ない現状は、こういった時期だからこそ見直すべきではないかと考えるのですが、区の考えをお聞きします。
(職員課長)
最大職員数を抱えることは地方自治法の考え方に反する。保健師も増やしてはいる。必要な部分は非正規を活用する。
常に最大の職員数を想定して職員を抱えていくということは、地方自治法の考え方に反すると考えてございます。
なお、特に保健師については、当区におきましては、令和2年度、令和3年度で、2か年で定数を10人増加させています。
必要な増員は計りつつ、併せて全庁を挙げて応援体制であったり、また会計年度任用職員の活用、更には業務を切り分けた上で人材派遣の活用で対応していく考えでございます。
(かとうぎ桜子)
公共の役割、職員の働き方は改善してほしい。会計年度任用職員の人事評価はどのように行っているのか?
公共的な役割のあり方、そして職員の働き方ということについては、しっかり状況を見ながら改善していただきたいと思っています。
会計年度任用職員の人事評価についても伺いたいと思います。
会計年度任用職員の制度の中で、人事評価の仕組みが導入されたと思うのですけれども 、改めて、どのように実施されているのか、そしてその評価はその後、その方にとっての働き方にどのように生かされているのかを伺います。
(職員課長)
服務規律や必要な知識経験、求められる役割を果たしているかなどを所属長が評価し、次年度の再任用の判断に活用している。
今おっしゃいました通り、会計年度任用職員は一般職でございまして、人事評価を実施しなければならないこととされています。
会計年度任用職員の人事評価でございます。
服務規律の遵守、業務遂行に必要な知識、経験を有しているか、他の職員と協力して職務を遂行しているか、さらには求められる役割を果たしているかなどにつきまして、所属長が評価をしています。
人事評価の結果でございます。
次年度の再度の任用を判断する際の客観的な能力実証として活用しています。
(かとうぎ桜子)
会計年度任用職員は昇給がない。人事評価が昇給やその先の継続性につながる仕組みが必要。
評価は次年度の確認用に役立てていくということです。
現状では会計年度任用職員は、昇給などの仕組みはない状況です。
例えば先ほど例にもあげました保健所など、現在厳しい対応を迫られているわけですけれども、その中でも非正規であれば給与面では評価されないということは課題であると思います。
人事評価をされるのであれば、単に次年度の任用だけではなくて、昇給やその先の継続性に繋がらないと働く人にとってのモチベーションには繋がらないのではないかと考えます。
そうした組織としての評価のあり方と、働く人にとってずっとこの職場で働き続けられるという安心感や、その職に対するスキルアップの体制など、継続性については区としてどのように考えているか伺います。
(職員課長)
人事評価が次年度の再任用につながればそれはモチベーションになると考えている。
先ほど申し上げましたとおり、会計年度任用職員は、任期ごとに客観的な能力の実施を 行った上で、次の年に任用するということが求められています。
今、申し上げましたとおり、再度の任用を行う場合の客観的な能力の実証でございます。評価されることが再度の任用につながることから、極めて重要な手続きであります。そのため、モチベーションを向上させる重要な要素となっていると考えています。
(かとうぎ桜子)
会計年度任用職員制度は課題があるので改善すべき。また、2020年度は人材派遣委託料が2019年度の1.7倍になっているが、なぜか。
会計年度任用職員のあり方については、いろいろと課題があるのではないかと思いますので、私は改善を求めたいと思います。
そして次に、同様の課題ですけれども、154ページの人材派遣委託料について伺います。 2020年度の人材派遣委託料は、8億2469万円余ということで、2019年度4億7549万円余だったとことと比べると1.7倍ほどになっていますが、人材派遣を今回活用した主な分野をお聞かせください。
(職員課長)
新型コロナウイルス対応の部署で増加している。
一言で申し上げまして、新型コロナウイルス感染症対応の部署で増加しています。
具体的に申しますと、健康部の新型コロナウイルス感染症に関するコールセンター、また 福祉部の生活相談コールセンター、さらには産業経済部の新型コロナウイルス感染症対応特別貸付、こういったものに人材派遣を増員して取り組んでまいりました。
(かとうぎ桜子)
新型コロナに限らず、この数年、人材派遣委託料は増加傾向。年収200万という非正規で専門職を使っていくやり方は優秀な人材の確保を困難にし、区政にとっても損失。方針を見直すべき。
今回は、主に新型コロナウイルス感染症への対応ということですが、人材派遣委託料は2018年度、2019年度も前年度と比べて約1.2倍になっています。以前質疑をした際は、病休への対応だとか、国の施策によって急遽発生した業務への対応という理由を説明されていました。
昨今、社会状況が大きく変わる傾向にありますので、人材派遣委託料は今後も増加して行く状況にあるのではないかと感じております。
そういう中で、年収200万円という働き方で短期間に専門職を使っていくようなやり方は、優秀な人材を区の中で育てていくことを困難にしますし、区政にとっても損失であると思います。 区における人材の確保と育成について、改めて方針を見直すべきであると申し上げて次の質問に移ります。