前回のブログでは、コロナ禍における貸付について書きましたが、今回は、貸付を借り切った人への支援金、そして生活保護についての質問です。

生活困窮者自立支援金は、「生活保護の手前の支援として位置づけられているため一定の要件が必要」という答弁があります。それはそうなのですが、ただ、今の制度は前提として貸付(つまりいつか返さないといけない)が前提になっているというところに問題があると思います。一定の収入や就労の状況等の要件は必要だとしても、貸付を要件とするという点は改善すべきなのではないかと私は考えています。

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(かとうぎ桜子)

生活困窮者自立支援金について伺います。

 

①練馬区ではどのくらいの人が生活困窮者自立支援金の申請をしているのか?

生活困窮者自立支援金は、特例貸付を借り切った世帯しか対象にならず、コロナ禍において困窮している人のごく一部にしか届かないという課題も指摘されています。そこで、現在の区における生活困窮者自立支援金の申請状況を伺います。

 

②コロナにより生活困窮した人にとってもっと間口の広い制度にすべき。

コロナが長期化する中で、生活困窮者自立支援金について、より幅広い対象者が使いやすい制度になるよう、国に改善を求めるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

 

③困っていても「生活保護は受けたくない」という人が多い。困った時には利用できる制度であることの周知を

次に生活保護について伺います。私が日々、相談を受けていても感じますが、生活困窮者支援の現場でも、貸付だけでは立ち行かない困難な状態を抱えながら、「生活保護は受けたくない」という人が多くいらっしゃいます。メディアで生活保護バッシングがされてきたことを目にした国民に、「生活保護は自分とは関係ないこと」「受けるべきではないもの」という気持ちが生まれてしまっているのかと懸念しています。生活保護は、困ったときに生活を立て直すために利用できるものなのだ、生活保護の窓口は広く国民に開かれているということを改めて示す必要があるのではないでしょうか。区の見解をお聞きします。

 

④今年度の生活保護申請状況は?申請が増加した際の体制は?

コロナ禍になってから、先に述べた貸付や住居確保給付金の活用などもあり、生活保護申請はあまり増えていないと言われてきましたが、最近では、国全体では増加傾向にあるとも聞きます。今年度の区における生活保護申請の状況をお聞きします。

 今後、コロナが長期化する中では、給付金や貸付だけでは生活の見通しが立たず、生活保護申請を必要とする人がさらに増えることも考えられます。保護申請が増加した場合に備え、区としてどのような体制をとっているか、お聞きします。

 

⑤「弾力的な運用」について練馬区ではどのように実施しているか。

 また、厚生労働省からは「生活保護の要否判定等における弾力的な運用について」という事務連絡が出ていますが、これを踏まえた対応は練馬区ではどのように実施しているかをお聞きします。

 

次に生活保護を利用している人への就労支援について伺います。福祉事務所で就労サポーターが仕事を紹介する支援がありますが、この事業は委託をして実施しており、受託事業者は人材派遣を主に行ってきた企業です。

 

⑥生活保護利用者の就労支援をするスタッフへの研修等の支援体制は?

生活保護を利用している人の中には、現に障害者手帳を持っていたり自立支援医療を利用していなくても、生活上の困難を抱えた上で保護に至っている人も多いと思います。そのため、手帳の有無等にかかわらずその人の心身の状況や環境に合った、福祉的観点からの就労支援が必要だと考えます。そうした観点から、就労サポーターのスキルアップや情報共有、困難事例に対する事例検討など、研修や支援体制が必要と考えますが、区としてどのように進めているかをお聞きします。

 

【回答】(福祉部長)

(1)生活困窮者自立支援金は十分な財政措置や制度改正を行うようすでに国に要望している。生活保護に至る前の支援をするものなので一定の要件は必要であり、対象者の拡大を国に求めるつもりはない。

生活困窮者自立支援金についてです。

本制度は、総合支援資金特例貸付の再貸付を終了した世帯等に対し、就労による自立を図るため、また、それが困難な場合には円滑に生活保護の需給へつなぐために給付金を支給するものです。9月1日時点で1064件の申請を受け付けています。

区は、増加する生活困窮者に対する支援を適切に実施できるよう、特別区長会等を通じ、十分な財政措置や制度改正を行うよう、すでに国に要望しています。国は本年8月、申請期間を8月末から11月末までに延長しています。

本制度は、生活保護に至る前の段階にある方を支援するためのものであり、一定の収入や資産要件、貸付の状況等で対象者を定めることは必要であると考えています。改めて国に対し対象者の拡大を求める考えはありません。

 

(2)生活保護について分かりやすく情報できるようホームページをリニューアルし、制度の趣旨を周知している。

次に生活保護制度についてです。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、生活にお困りの方へ支援内容を分かりやすく情報提供できるよう、昨年3月に区ホームページをリニューアルしました。生活保護については、生活に困窮するすべての方に対し、その状況に応じ、必要な保護を行い、最低限度の生活保障と自立助長を行うという生活保護法の目的等を周知しています。

 

(3)今年度の生活保護申請は昨年度と比較して月10件程度増加。今後の増加を見込み、ケースワーカーを増員した。

今年度の生活保護申請件数は、月平均135件であり、昨年度と比較して10件程度増加しています。住居確保給付金や緊急小口資金等特例貸付などの支援終了後に、生活保護の新規受給者が増加すると見込まれており、今年度ケースワーカーを7名増員しました。

 

(4)国が示した弾力的な運用の通知に基づき適切に対応している。

生活保護の要否判定における弾力的な運用についてです。区はコロナ禍において、平常時では保有を容認されない保険や自動車、自営業の店舗などの事業用の資産について、自立のために必要な場合には保有を認めるなど、国の通知に基づき、適切に対応しています。

 

(5)就労サポーターは定期的な事例検討会をし、ケースワーカーと随時状況を確認している。

各福祉事務所の就労サポーターは、国や都、社協などが行う研修に参加するほか、定期的な事例検討会により、支援力の向上に努めています。支援の進捗状況を随時、就労サポーターと担当ケースワーカーが確認し、一人ひとりの状況に応じた支援に取り組んでいます。