2月24日の保健福祉費の質疑ではまず、介護の現場で働く外国人への支援について質問しました。

 

「じょくそう」「ざいをほじ」という言葉の音を聞いた時にみなさんは、頭の中で漢字に変換したり、意味を理解したりできますか?

 

介護の現場で使う言葉は、普段、日本語を母語とする私たちもあまりなじみがないものが多いです。

先ほどの問いの正解は、「褥瘡」「座位を保持」です。意味は、「床ずれ」「座った姿勢を保つこと」です。

 

実際こういう、なじみの薄い言葉が使われている状態を変革させるのはなかなか難しいことかもしれませんが、これはそもそも、変えたほうが良いのかもしれません。なんのためにそんなになじみのない「専門用語」を使う必要があるのでしょうか。こうした言葉が利用者とスタッフの間の距離感を生んだり、もしかしたら「私には難しくてできない」という離職を生んでいたりもするんじゃないかという気がするのです。

 

だれでも分かる言葉で語り合うことが、介護の社会化の中では必要なのではないかと、今回の質疑をするにあたって改めて考えさせられました。

 

さて、これだけ日本人でもなじみのない言葉を使う介護業界で働いてくださっている外国人の方たちがいらっしゃいます。

質疑の中にも出てきますが、日本では推計140名ほどいらっしゃるだろうとのこと。

 

私も2019年度に介護職員実務者研修を受けて介護福祉士を取ったのですが、私が通っていた学校にも外国出身の方が来られていました。

そもそも、実務者研修は、記録の書き方の研修がかなり大きな位置を占めます。正直、「なんだこれ、介護の勉強じゃなくて義務教育レベルの国語の勉強じゃん」と思ったもんです。

国が介護福祉士に求めるものは介護力じゃなくて国語力なんですかね。まあもちろんそれもある程度は必要でしょうけど、一番大切なのって本当にそれですかね。「当事者と向き合う力、家族と向き合う力」が一番大事なんじゃないのかな…その次に大事なのは新しく入ってくる後輩たちをサポートできる力とか…。

だからせめて、「当事者支援」「職場内でのリーダーシップ」「記録を書く力」と、実務者研修の内容を分割すればいいんじゃないかなぁ。記録を書く力なんて、ツールでしかないんだから、苦手な人、受けたいなと思う人だけ受ければ良いじゃないかと思ったりもします。

 

で、記録を書くことに研修のかなりの時間を割かれる中で、外国出身の人はとても苦労されるわけです。例文が何を言っているのかも分かりづらい。そこからアセスメントシートを書くのも大変。でもさっき書いた「書く力なんてツールでしかないじゃないか」という話でいえば、日本語が母語でない人は、普段の活動は翻訳アプリとか使えばいいわけで、なぜそれをわざわざ手書きで苦労させる必要があるのか。

 

基本的に実務者研修に来ている人の大半は、職業柄親切な人が多いから、外国の人が困っているのを見れば、「一緒に勉強しようね」と声をかけていくわけですが、笑顔はつらつとしていてきっと利用者にとても良い対応をしているんだろうなという外国人の人が、「私、本当にできないです」「みんなに迷惑かけてばかりでごめんなさい」と言いながら研修を受ける姿に胸が痛みました。まわりがサポートすればいいっていう話ではないですよね。制度的に合理的配慮がなされず、尊厳を傷つけられていると思います。外国人に働いてほしいといいながら、また、介護の仕事をする人にキャリアアップをしてほしいというならば、なぜ国の制度設計として初任者研修・実務者研修や介護福祉士受験というところに基本的な合理的配慮すらできないのかと思います。

 

研修を受けた時のことを思い出しては腹が立つので、前段の話が長くなってしまいました。

 

制度設計に対する憤りがある中でも今できることとしては、介護現場に近い地域で、こうした記録などに関する研修や、悩みごとを相談できる場を充実していくことではないかと思います。

 

そうした思いで今回は、外国人介護職員の研修について質問しました。


それにしても最初の答弁の「団塊の世代が云々」は外国人介護職員とまったく関係ない一般論なので要らなかったな。高齢者基礎調査の話の前まで全部カットしても良かったんじゃないでしょうか。っていうか、少子高齢化が進むから外国人の活用するんだ、みたいな説明も、人を道具だと思ってんのか、って感じがしますが。


無限に質問時間があるなら前段の話もしていただけたら良いですが、私の質問時間、たった6分ですから。行政の人には私の質問時間が短いことなんかどうでも良いのかもしれませんが、「すこしは、わたしに、愛をくだーさいー」と歌いたい気分になりますので、よろしくお願いしたいです。

 

--------------

(かとうぎ桜子)

介護保険事業計画に関連して伺います。

来年度から始まる高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画の素案の中に、外国人介護職員の受入支援の充実とあります。

練馬区内の外国人介護職員の人数はどのくらいいらっしゃるのか、また、今まで実施してきた支援策はどのようなものなのかを伺います。

 

(高齢者社会対策課長)

外国人介護人材について、区内における数と、その支援の状況についてです。

団塊の世代が全て後期高齢者となる令和7年に向けて、医療、介護、予防、住まい、生活支援が継続的に提供される地域包括ケアシステムを確立するためには、介護現場を支えている人材の確保、育成、定着を強力に推し進める必要があります。

少子高齢化が進行している中、外国人を介護の担い手として受け入れていく環境整備が求められています。


令和元年度に実施した高齢者基礎調査から、区内の外国人介護人材は140人程度いると推計しています。その約半数は、日本人の配偶者等です。

区は、これらの外国人介護人材の育成や介護事業所による受入れを支援するため、練馬介護人材育成研修センターと連携いたしまして、様々な取組を行ってきました。事業者を対象とした外国人介護職員の受入に関するセミナーを平成30年度に19事業者、今年度には3事業者に対して実施いたしました。


外国人介護職員に対する日本語研修につきまして、令和元年度に7名に対し実施したほか、事業所において、外国人介護職員に職場で使う日本語を教えるインストラクターの養成研修を令和2年度に11名の職員に対して実施しています。

 

(かとうぎ桜子)

実際に働いていらっしゃる方と比べて、まだまだ研修を受講されている方は少ないのかと思います。


私も昨年度に実務者研修を受けて、介護福祉士を取ったのですが、介護福祉士は記録を取るのが重要な役割だということで、かなり記録に関する研修に時間を費やしました。

研修受講生の中には外国人の方もいらっしゃったのですが、介護で使う言葉は「褥瘡」だとか、「座位を保持する」とか、通常日本人でも使わないような特殊な言葉も多いですし、外国人の方は研修でもかなり苦労されていました。日本人の受講生がサポートしたりもするのですけれども、「みんなに迷惑をかけて研修を受けて申し訳ない」と言う状況で、ご苦労されている姿を見ました。


実際の現場では、例えば翻訳アプリを活用するとか、いろいろとツールを活用することもできると思うのですけれども、現在の国の介護制度の中で、外国人の方が働きやすい、キャリアアップしやすいということに対する配慮が、まだまだ不十分なのではないかという課題を感じています。


現状でできることとしては、地域の研修の中で、記録の取り方の工夫や、資格取得に向けた外国人向けの研修を充実させたり、悩みを相談できる場の充実が重要だと思うのですけれども、今後、区としてどのように取り組んでいくかをお聞きします。

 

(高齢者社会対策課長)

区は、介護職員とその家族などを対象に、外部専門機関の電話相談、ウエブ相談、対面カウンセリング相談など、外国人の介護職員を含む職員全体が利用できる相談窓口を練馬介護人材育成研修センターと連携して設置しておりまして、24時間相談に対応してます。

この取組につきましては、新たに設置する練馬福祉人材育成研修センターでも引き続き取り組んでまいります。


また、先ほど委員のご指摘がありました介護記録についてです。

区は実施しておりますICTの導入支援事業については、介護記録を例えば口述で変換するようなものも対象にしています。そういった形で、様々な方法で介護職員の負担軽減を取り組んでいます。

また、先ほど申し上げた様々な研修の取組で、事業者、従事者のニーズや課題も大分見えてきたところです。

令和3年度に新設する練馬福祉人材育成研修センターでは、これまで試行的に行ってきました外国人介護人材に対する研修について、受入事業者向け、職員支援、双方に対する経常的に実施するメニューとして展開いたしまして、支援を強化してまいります。

今後とも外国人を含め、介護人材がいきいきと働ける環境づくりを進めてまいります。

 

(かとうぎ桜子)

ぜひ、多くの外国人の方が研修を受講して、悩みを解決できるような体制を充実させていただければと思います。