9月、10月の定例会では、2019年度決算の質疑をしました。今回のブログからその報告を書きます。

 

まず、9月29日の総務費で、女性への支援について質問した内容。

 

今、コロナの影響でDVなどサポートを要する人が増加することが懸念されていますが、行政に寄せられる相談はあまり増えてはいないようです。一方で民間のNPOなどに寄せられる相談は増えていると私は感じています。

ステイホームで家族からの暴力があっても、その場で電話相談するわけにもいかないし、家を飛び出して助けを求める…そのときにひとまず滞在できる場があるのかどうか。その体制が現状では脆弱であると感じますので、そのことについて取り上げました。

 

(かとうぎ桜子)

男女共同参画センター維持運営費に関連して伺います。

男女共同参画センターにおいて受けているDVに関する相談、またその他の相談は、コロナウイルスの問題が起きてから、件数や内容に性質の違いが出てきているのかどうか。状況をお聞きします。

 

(人権・男女共同参画課長)

 えーる(練馬区の男女共同参画センター)での相談は、まず、総合相談から心の相談、DV相談、その他の専門機関につなげているところです。

総合相談では、在宅勤務によるストレス、食欲不振、自粛疲れ、不安などの内容が、コロナ関係で多く寄せられたところです。

件数としては、4月が38件で、それ以降徐々には減ってはおりますけれども、8月は7件という状況になっております。

また、DV相談は、練馬区の場合は、昨年同月と比較して減少している状況です。

 

(かとうぎ桜子)

件数としてはまだ潜在化している課題もあるのかと思います。私が相談を受けている中では、今年度に入ってから、家族からの暴力にもう耐えられないので家を出たいという相談が増えている感覚があります。

相談される方からは、「コロナの影響で」という言葉が出てくるわけではないのですが、もともと折り合いの悪かったところに、ステイホームで状況が悪化しているケースがあると感じています。

それで、なぜ私のところにご相談に来られるかを考えると、若い年代の方にとっては、緊急一時保護のシェルターの使い勝手が悪い面があると思います。例えばシェルターに入っている間は携帯電話が使えないなど、一定の行動制限があるということです。

一方で、シェルターを活用するメリットとして、心理面・生活面などの財政的なサポートが得られる面もあるわけです。

こうしたメリット、デメリットを含めて、支援制度の現状についてお聞きしたいことが、1点目の質問です。そして、若い世代に対するサポートとしては、どのように取り組まれているかもお聞きします。

 

(人権・男女共同参画課長)

まず、シェルターにつきまして、この制度はまず命を守るための保護の制度という位置づけがございます。

携帯電話の件につきまして、報道等もございますけれども、一時保護で居場所が分かってしまう危険性をご理解いただいて対応しているところがございます。不自由ではありますけれども、ご本人のためということで理解をいただきたいと思っております。

また、若い女性の方へのサポートでございますけれども、シェルターを出た後、区における支援については、シェルターでの専門職との連携なども行いまして、ご本人の意思を尊重しながら対応を行っている状況です。

 

(かとうぎ桜子)

DV被害の場合は、加害者からの追跡を防止しなければいけないという側面はとても重要ではあるのですけれども、一方で、制度上厳密な保護という方法しかないと、そこから漏れてしまう人が必ず出てしまうと思います。

シェルターを使うか、そうでなければサポートがないのでは、あまりに極端すぎると思うのですが、その点は区としてどう考えて取り組んでいるのか、お聞きしたいことが1点目です。

それから、例えば精神的なDVで過干渉や言葉の暴力などから逃れてきた人や、性暴力の被害で一定の生活サポートが必要な人などが必要としているサポートを考えると、現状のシェルターの体制はマッチしていない部分があるとも感じます。これは練馬区だけの課題ではありませんけれども、婦人保護事業の「保護」という側面が強くて、当事者主体の支援や福祉とは違う経緯をたどってきたところから来る制度上の課題があると思います。

今、国でも制度の見直しの検討もあるようですが、状況をお聞きしたいことが、2点目の質問です。

 

(人権・男女共同参画課長)

区のサポートについては、シェルターを出た後、何もサポートがないわけではございません。いろいろな手法により、その方の状況によって支援を行っているところはございます。

また、国の状況ですけれども、本年6月に性犯罪・性暴力対策の強化の方針が決定されまして、今後3年間、集中強化期間として、相談しやすい環境や切れ目のない被害支援の確立など、5項目について具体的な実施方法が今後示されると聞いております。

区としましても、当事者の意思を確認しつつ、きめ細かい支援を行っていきたいと考えているところです。

 

(かとうぎ桜子)

現状では、制度的な課題に民間ではざまを埋めるような対応もされていると思いますし、制度の改善については、区としても努力されて、国にも求めていただきたいと思います。

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私は「シェルターを使わない場合にはその代替となる支援が何もないのではないか」と言っているのに対して、課長は「シェルターを出た後に支援がなくなるわけではありません」と答弁しています。「何もない」という答弁をしないために、わざとこのように答えたのかもしれませんが、ずれがありますよね…。

だからつまり、シェルターに入って外出や携帯電話の利用禁止がされるならそれは選択できません、という人がいた場合のことは視野に入れられていないということだと思うんです。そうなったらどうするのか。無料定額宿泊所に入るか、制度ではないボランティアベースで行なっているシェルター的なところに入るか、ネットカフェとかホテルでひとまず過ごすか? そうやってなんとか寝る場所を確保できても、その間の本人の不安な気持ちのケアは誰がするのか?

そう考えると、不自由な中での手厚いサポートと、自由はあるけどサポートがない、という両極端ということだと思うんですよね。

 

そもそも、女性に対する福祉的な支援は、売春防止法に基づき、婦人相談員が置かれていて、サポートがされています。そこから派生して、暴力被害や家庭の問題など、生きづらさを抱えた女性への支援も行なっています。成り立ちが福祉というより保護からスタートしていることによる課題が顕在化しているのだと思います。ですので、国でも婦人保護事業のあり方が検討されていますが(こちら)、今こそ早急な、福祉・支援の観点からのしくみの見直しが必要だと思います。

それから、一定のしくみがある女性の支援ですらこのような課題があるので、生きづらさを抱えた男性の場合はなおさらサポートが限られますね。例えば成人男性が家族からの暴力から逃れて相談に来られたらどうするのか、ということです。本当に民間のボランティアベースで支えられている状況だと思います。