文化芸術に対する公共の役割について、一度しっかり議会で取り上げたいなと思っていたところにコロナ禍がやってきてしまいました。

あまり商業的にはできないようなものでも、地域で人が心豊かに活動できたり、こどもや高齢者や障害のある人が楽しめる工夫をすること、古くからその地に残っている文化を保存することなど、公的な役割は大きいと思うのですが、このコロナの状況の中でどう取り組んでいくか、ということで質問しました。例えば、実習の受け入れなどは練馬区はこの状況下でもかなり積極的になされているようです。そういう役割は大事だなと思います。

 

(かとうぎ桜子)

次にコロナ禍における文化芸術施策について伺います。

新型コロナウイルス感染防止対策のため、不要不急の外出の自粛などが求められてきましたが、文化芸術も福祉と同様、人が豊かに生きるために欠かせないものです。感染対策を講じながら可能な限り文化芸術施策を停滞させないことが必要です。一方、今までに経験のない社会状況の中で、文化芸術施策にも財政面でも大きな課題がありますので、以下お聞きします。

まず、このような先の見通しの立ちづらい状況の中で、どのようにプログラムを実施していくかについてお聞きします。緊急事態宣言解除後、美術館では6月2日からショパン展を開催しましたが、感染対策をしながら開催できるかどうかということはもちろんのこと、ショパンの自筆の楽譜の搬送など、コロナ禍で対応が困難だった部分もあるのではないかと思います。開催に至るまでどのような検討をし、工夫をしてこられたかを伺います。

また、今年度は、区の主催事業ですでに延期を決めているものが多数あると思いますが、これらについての今後の取り組みの方針を伺います。

次に、コロナ禍の中での新たなイベント展開についてお聞きします。感染防止対策を要する中で、例えばオンラインを活用するなどの方法も取られてきましたが、今後も開催のしかたや募集の仕方など、従来と異なる工夫が必要と思います。どのように実施していくか、考えをお聞きします。

次に実習生の受け入れの状況について伺います。ふるさと文化館、美術館では従来、大学生の学芸員実習を受け入れていますが、コロナの状況下での実習生の受け入れはどのように進めているかを伺います。

次に、コロナ禍での文化センター、ゆめりあホールの利用状況を伺います。今年度のこれらホールにかかわる歳入の減少をどのように見込んでいるか、またそれを踏まえて指定管理者に対する運営支援など、対策をどのように検討しているか、基本的な方針を伺います。

次に、歳入面での工夫について伺います。いままでのようにホールの利用収入でホールの運営、さらに文化芸術施策にかかる費用をまかなうことが厳しい状況になっていますが、このような状況は今後も継続したり、場合によっては再度深刻化することも起こり得ると考えられます。今後に向けて、利用料収入以外の歳入の工夫も考える必要があります。ひとつには、コロナ対策に関する国や都からの補助金、また民間の助成金の活用などがさらに必要になると考えるのですが、区としては財源確保にどのように取り組んでいるかをお聞きします。また、文化芸術施策を持続可能なものにするために寄付を呼び掛けるなど、区民からの協力、応援を呼びかけることも必要ではないかと考えます。区民が参加、応援したいと思える働きかけを工夫してはと思いますが、考えをお聞きします。

コロナ対策を必要とする状況下で、どのように社会とのつながりを持つか、文化的な活動をしていくか、官民問わず悩みながら進めている状況です。文化芸術のとりくみそのものについて動画やSNS等で発信するのはもちろんのこと、感染防止対策を講じながらも実施のための工夫をどのように行っているかということも発信し、豊かな生活と感染防止対策との両立についての情報共有も進めていただきたいと思います。

 

 

(地域文化部長)

私から文化芸術などについて、お答えいたします。

はじめに、文化芸術についてです。

美術館でのショパン展は、4月28日から6月28日までの開催予定でありましたが、緊急事態宣言が解除された後、6月2日から会期を55日間から24日間に短縮し開催しました。

開催にあたっては、日本博物館協会のガイドラインに基づき、館内における清掃、消毒の徹底、ソーシャルディスタンスを確保するための入場者数制限など、感染防止対策を徹底しました。さらに、美術館のツイッターにより、混雑状況や待ち時間の目安を発信しました。

緊急事態宣言が解除されてから短時間で開催準備を行うなど、これまでにない状況のため困難はありましたが、再開後は多くの区民から「待ち望んでいた展覧会を楽しめた」などの声をいただき、一万人を超える方にご覧いただくことができました。

今年度予定しているイベントについては、定員管理の難しいアトリウムミニステージは、会場を文化センターに変更し、「ねりぶんアフタヌーン・ミニコンサート」として開催しています。「真夏の音楽会」は、来年2月に延期します。

文化振興協会では、既にチケットの申し込みから支払いまで、オンラインで完結できるようになっています。引き続き、感染症対策を行いながら、さまざまなイベントを実施していきます。また、石神井公園ふるさと文化館での講演会は、協会のユーチューブで配信を始めています。

博物館実習については、日数の短縮や来館者と接するプログラムを実施しないなど、実習内容を工夫し、美術館、石神井公園ふるさと文化館で例年どおり実習生を受け入れています。

練馬文化センター、ゆめりあホールは、新型コロナウィルス感染症の影響により、昨年度と比較して利用件数が大幅に減少し、利用料金収入も減っています。

指定管理者である文化振興協会では管理運営を工夫し、経費節減に努めていますが、光熱水費の節減など対応は限られています。

区は、利用状況を踏まえ、協会の減収分の補填も含め支援してまいります。

これまで文化振興協会では、民間団体が実施する助成金など獲得や寄附を受けてきました。今年度は、文化庁の「文化施設の感染症防止対策事業」補助金を新たに活用します。

区は、寄附制度充実を進めており、文化芸術分野においても、さまざまな機会を捉えて貴腐の呼びかけをしてまいります。