今回も長らく報告に時間がかかってしまいましたが、今回が質疑の最終回です。

 

10月4日、2019年度の補正予算の質疑がありました。そこで私は、生活保護と孤立防止について質問しました。内容としては、

①10月から年金生活者支援給付金制度が始まり、年金に一定の額を上乗せされる支給が始まります。年金支給額が生活保護基準以下の場合、年金に加えて、生活基準から不足する分を生活保護受給する高齢者がいますが、一応はその人たちも給付金の対象になります。ところが、せっかく手続きをとっても、給付金は収入認定されてその分生活保護の支給分が減らされます。だから当事者には特にメリットはありません。自己申告の申請をがんばってやってもメリットがないならたぶんやらないですよね。一方、生活保護費は国費、都費の他に区費が入りますが、給付金は別会計になりますので、手続きを取ってもらえば区としては生活保護費の支出の圧縮にはなるわけです。だれもが利用できる支援を活用することで生活保護費を削減できるという行政側のメリットはある。ならば、生活保護を利用する高齢者の給付金支給手続きは福祉事務所が代行するしくみがあれば行政的には良いのでしょうに、それはない、という。じゃあそもそも何のために給付金の対象者に生活保護受給者は入っているのだろう?誰にもメリットがないのかな?ということについて取り上げました。

②生活保護基準は引き下げられる傾向。私たちの生活の中で、交通費や食費はかなりかさみますよね。使えるお金が限られるとひしひしと交通費の支出について考えさせられるわけです。私の知り合いの中にも、交通費支出を考えて友人とのつきあいの回数を減らし、それでちょっと気持ちが落ち込みがちになってしまっている人がいます。つまり、社会とのつながり、文化的な生活には一定のお金が必要です。生活保護を受ける人は最低限の衣食住さえそろっていれば満足だろう、働いている人より生活水準が低くて当然だ、というのを劣等処遇といいます。今の生活保護制度は劣等処遇を目指す方向に動いていってしまっているのではないか。社会的孤立を防ぐという観点が必要だという指摘をしました。担当課長が「今の生活保護基準は国が決めていて適正だ」と答弁していますが…だったら課長も生活保護基準の給与だけもらって生活してみればいいじゃないかと、憤慨しました。もしそう聞いたら何と答えるんでしょうか、「受給者と私は事情が違う」と言うでしょうか。もし違うなら、何がどう違うんでしょうか。その根本にあるのは劣等処遇の思想ではないでしょうか。

保護基準は国が決めるからいかんともしがたいということであるならばまだしも、正当化する必要はないじゃないか。生活保護を受けている人はみな、生活に必要なものをそろえるためにどうやって日々の支出を切り詰めるか、努力をされています。支給日にはそうした受給者の姿を見ている基礎自治体として、当事者に寄り添った姿勢をとってもらいたいと思います。

③生活保護受給者の健康診断の受診率が低いという国の問題意識が挙げられているので、区の実態を聞きました。途中で質問時間の時間切れになってしまいましたが…。33%ということで、低いですよね。個別に担当者と話す中では、何かしらの医療的なサポートが必要だから生活保護を利用する人は多いので、健康診断という形ではないけれど日々医療機関とつながっている人は多いから、とのことでした。ただ、例えば日常的に精神科にかかっている人が、身体面での健康の管理は十分にできているのか、といった点からの検証も必要なのではないかと思います。

 

以下は質疑の議事録。

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(かとうぎ桜子)

生活保護費のシステム改修委託料に関して伺います。まず、今回のシステム改修はどのようなものかについて伺います。

 

(生活福祉課長)

今回の補正予算は、生活保護電算システムの改修委託料です。改修するシステムの内容といたしましては二つございまして、平成30年度(2018年度)に開始いたしました進学準備給付金創設に伴うマイナンバー情報連携のための改修と、国の調査項目の変更による集計項目の追加を行うものになります。

 

(かとうぎ桜子)

補正で対応するということで、生活保護は様々な制度の変更点があって、区としても対応を求められるところがあると思うのですけれども、そういった変更点についてなど、何点か伺っていきたいと思います。

厚生労働省の資料によると、10月から年金生活者支援給付金制度がスタートをして、そこで生活保護を利用している人も多く対象になるということなのですけれども、練馬区で生活保護を利用している人のうち、給付金制度の対象になる人がどのくらい見込まれているのか、申請の状況はどうなっているのかをお聞きしたいのが1点目の質問です。

生活保護を利用している人がこの制度を使った場合には、本人に給付があるのか、あるいは、どのような影響があるのかをお聞きしたいのが2点目です。

 

(生活福祉課長)

今回の給付金に関しましては、個別に受給者の方にご自宅に通知は届いているとお聞きしています。区として把握は現在できておりません。

ただし、生活保護受給者の中で、年金を受け取っている方は約6,000世帯ございますので、今回の対象は6,000世帯と見込んでいるところです。

申請の状況に関しましては、まだ本当にご自宅に届いている方が少しという状況ですので、なかなかこちらの方の手続きということでのお話は聞いておりません。ただし、実際にそういう状況になりました場合には、一人ひとり個別の丁寧な支援を行ってまいりたいと思っております。

今回の給付金を受け取ることによりまして、それは個別にご本人宛に届くものでございますので、ご本人から収入の申告をいただき、こちらでは収入認定を行い、保護費を調整いたしまして、保護費の削減につながると考えているところです。

 

(かとうぎ桜子)

給付金が出た場合にはご本人の生活保護費を減らすから、区の財源という意味では影響があるけれども、本人には特段のメリットがないものなので、申請手続きをご本人が進めていくのは、なかなか難しいところもあるかと思いますし、かといって、生活保護を利用している方に関して、手続きの簡便化とか、そういった特例があるわけでもないということなので、制度的な課題があるのではないかということを指摘しておきます。

それから、今回の生活保護基準の改定は、消費税増税の影響を勘案してプラス改定ではありますけれども、保護基準は引き下げられる傾向にあって、生活保護を利用する人の生活は厳しくなっており、文化的な生活を営むという面は困難になってしまうおそれがあると思います。

例えば、たまには友達に会ってお食事しようと考えても、交通費などがかかるわけで、経済的な厳しさが社会的なつながりの困難にも影響するという問題意識を持つ必要があると思います。文化的な生活を保つことのできる保護基準について、国に対して意見を言っていただきたいと思います。

また、生活保護を利用する人の支援に当たっては、社会的な孤立を防ぐ観点から課題を捉えていく必要があると思うのですが、区として生活保護を利用している人の孤立防止の観点からの取り組みは、どのように進めているのかを伺います。

 

(生活福祉課長)

まず、生活保護基準に関しましては、国の消費実態と現行基準との均衡を図るために、定期的に検証を行い、社会保障審議会、生活保護基準部会において、5年に一度消費実態を用いて、客観的に検証、評価されているものです。

ですので、世帯の影響も十分に配慮して、検証結果を機械的に当てはまることがないように考慮されておりますので、基準額の改定は、国の合理的な判断として適正に実施されているものと認識しております。

また、二つ目の孤独を防ぐ取り組みといたしましては、まずは、ケースワーカーが受給者のご自宅に訪問して、体調など、または今後の予定を聞き取り、支援計画を立てております。心身の不調やご意見など、訪問や電話により丁寧に聞き取っているところです。

それ以外にも、高齢世帯の方に生活支援員が見守りや健康管理の相談、助言など、ケースワーカーとは別に訪問しているところです。また、子どもを対象に子ども支援員もおりまして、こちらも子どもの学習環境や生活改善を図るために支援を行っているものです。

さまざまな場面で受給者に寄り添いながら、孤立を防ぐ支援を行っているものです。

 

(かとうぎ桜子)

厚生労働省の資料によると、生活保護を利用している人の検診の受診率が低いと書いてあるのですけれども、その点、区内の状況はいかがでしょうか。

 

(生活福祉課長)

受診率でございますけれども、33%です。(ここで時間切れ)