9月20日の決算特別委員会、保健福祉費の日にはまず、在宅療養の体制について質問しました。

病気が重くなったり、介護の必要性が高くなっても、自分の家で暮らし続けられる体制を取れるかどうか…イメージできない、という人もまだまだ多いのではないでしょうか。

どんな状況になってもご本人が希望すれば自宅での生活が実現できるよう、行政としては支援者側への支援体制を整え、当事者が必要な支援を受けられる情報発信が必要であると指摘しました。

 

(かとうぎ桜子)

地域包括支援センター維持運営費に関連して伺います。

地域包括支援センター運営協議会の資料によれば、2018年度の地域包括支援センターの医療と介護の相談窓口での在宅療養に関する相談実績は1万1803件とのことです。

内容としては、在宅療養のための介護サービス等の相談と退院に関する相談が過半数を占めていますが、相談を受けた後、どのような支援につなげているのか、特徴的なケースなどをお聞かせください。

          

(高齢者支援課長)

昨年4月、地域包括支援センターの再編に合わせ医療と介護の相談窓口を4カ所から25カ所に増設し、全ての窓口に医療介護連携推進員を配置いたしました。

推進員は退院時などにその人の状況に応じた医療介護従事者による在宅療養の支援チームを編成して、サービス提供体制を整えているほか、在宅療養を継続する中で、本人の状態に変化があった時などには適宜支援チームに加わり、必要なサービスの調整などを行っております。

事例としましては、末期がんでご本人は自宅での最後を希望しておりましたが、ご家族が不安で迷っているという事例がございました。推進員がご家族に対し、在宅療養に関するサービス内容や看取りまでの見通しなどをご説明することによってご家族の不安を軽減し、ご本人の希望である自宅での看取りを実現いたしました。

この事例では、ご本人が喜ばれたことはもとより、ご本人の看取り後、ご家族も自宅で看取りができてよかったとおっしゃっていたとのことです。

 

(かとうぎ桜子)

25カ所の各地域包括支援センターで近隣の診療所と顔の見える関係をつくり、ケアマネやヘルパーの事業所などとつなぐといった連携体制づくりが必要だと思いますが、どのように進められているのか、具体的な例を挙げてお示しください。

 

(高齢者支援課長)

地域包括支援センターでは、地域の医療機関への訪問や医療介護従事者による事例検討会の開催などによりまして、在宅療養ネットワークづくりに取り組んでおります。在宅療養に関する相談に対しては、こうしたネットワークを活用して、その人の状況に応じた在宅療養の支援チームを編成しております。

事例といたしましては、脳梗塞で退院を控えた方に、在宅療養の環境整備を行ったという事例がございます。まず、病院で行われる退院に向けた会議にケアマネジャーとセンターの職員で参加しまして、病院の医師やリハビリ専門職の話を伺いながら、本人および支援関係者で退院後の支援方針を確認いたしました。そのうえでケアマネジャーは事例検討会で知り合った訪問看護ステーションなどに連絡し、みずから支援チームの構築に取り組み、センターは在宅医との調整や住宅改修に向けた助言など、ケアマネジャーのサポートを行いながら在宅療養の環境を整備いたしました。

 

(かとうぎ桜子)

次に、在宅医療の体制というところをお聞きしたいと思いますが、委員会で報告のあった死亡小票分析報告書を見ますと、2017年の看取りに関する分析がされていまして、在宅の看取りを15件以上やっている区内の診療所は8件ということです。

こうした診療所の体制の現状を区としてどのように捉えているのか、また看取りができる診療所の充実のために課題となる点はどのようなことがあるかをお聞かせください。

 

(地域医療課長)

区では死亡小票分析を行っております。自宅での看取りの件数ですけれども、平成23年(2011年)に341名であったものが、平成29年(2017年)では549名と16%増加している状況でございます。依然として病院での看取りが最も多いことに変わりませんけれども、その病院での割合は85%から76%、減少傾向にあるというところです。この自宅や施設での看取り件数が今後増えているというところでして、この超高齢化社会の進展によりまして、在宅での医療を受ける方はますます増加すると見込んでおります。

今後、課題といたしまして、在宅医療を担う医師が増えていかなければ対応が困難になると考えているところでして、現在、区では誰もが安心して在宅で療養生活が送れるよう、在宅医療を担う医師等への支援、また医療機関との検討を進めております。

 

(かとうぎ桜子)

区民の皆さんの意識として、症状が重くなったりだとか、介護の状態が重くなるとなった時に、自分の家で暮らし続けられるイメージができない人もまだまだ多いのではないかと思います。介護や医療の必要性が高くなっても、自分の家で自分らしく暮らし続ける選択肢があるのだということの啓発をさらに進めるとともに、診療所が活動しやすくなるための体制の検討を進めて、介護との連携の充実を各地域で進めていっていただきたいと思います。