3月8日の議会最終日、本会議で予算に関する討論を行ないました。これがこの定例会での活動報告の最後となります。

 

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市民ふくしフォーラムとして、2019年度一般会計予算、国民健康保険事業会計予算、介護保険会計予算、後期高齢者医療会計予算、一般会計補正予算に反対の立場で討論をします。

今回の予算特別委員会の質疑の中で現状の改善が必要と考えたもののうち数点を指摘します。

 

まず、高齢者の生活についてです。地域包括ケアの推進がいわれていますが、少しの見守りさえあれば地域生活が可能であるという高齢者の生活についても、医療的ケアが必要な人も含めて介護の支援を多く要する高齢者の生活についても、地域で支えていくためにはまだまだ不十分な状況にあると考えます。

たとえ今は特に支障なく暮らすことができているという人であっても、急に倒れるようなことがあったらどうしよう、将来介護の状態が重くなったらどこで暮らせるのだろうかと、いつか起こるかもしれない生活の変化に不安を感じる高齢の方はたくさんいると思われます。認知症になっても、介護が必要になっても、自分の暮らしたい場所で自分のやりたいことをして、心穏やかに暮らすことは可能であるということを、より一層周知することが必要です。

そして実際に、だれもが自分らしく暮らせる地域を実現するためには、高齢者福祉、介護、医療の連携はもちろんのこと、障害者制度などあらゆるしくみを支援者側が十分理解し活用することのできる体制の整備を進めなければなりません。また、高齢者が暮らす場の選択肢をより豊かに提示できるよう、住宅セーフティネットの体制整備や、様々なタイプの高齢者施設の実態把握と連携の強化も必要です。

 

2つめに課題を指摘したいのは、障害のある人の生活についてです。障害の重度化、障害のある人の高齢化への対応が必要であることは、制度的にも謳われていますが、一方で障害のある人の就労は現在、稼ぐことにあまりに偏重している傾向があります。障害のある人が年齢を重ねても、障害が重度化しても、通いたいところに通い、暮らしたい場に暮らせるよう、まずは区立施設での支援方法を再検証し、モデルケースを示しつつ、民間事業者の持つ課題についてもともに解決を図っていくことが必要です。

 

3つめは、男女共同参画についてです。男女共同参画計画は、DVなど暴力被害者への支援や若い女性への支援、セクシュアルマイノリティの人への支援などの特徴的なもののほか、介護、子育て、健康など、他の個別計画と重複するものも含まれます。これらについては、男女共同参画の観点からの計画作りをより一層検討すべきです。私は今回の予算の質疑では、特に健康施策についてとりあげましたが、男性であること、女性であること、セクシュアルマイノリティであること、それぞれが身体的、心理的、社会的に健康への影響を与えていることをふまえ、男女共同参画の観点からどのような取り組みができるのか、より独自性のある視点を盛り込むべきと考えます。

 

今まで述べてきた課題の解決の鍵となるのは「人材」です。行政職員が区民の生活の中の悩みにしっかり向き合う体制を整備するとともに、委託事業においてのとりくみを検証すること、民間で行なっている事業での人材育成、労働環境改善に向けて区としても取り組みを進める必要があります。

 

4つめに指摘したい課題は、学校徴収金システムについてです。練馬区では来年度から学校現場で現金を扱わずに済むシステムをスタートさせるということですが、その位置づけは相変わらず学校ごとの私費会計のままです。会計の透明性の確保という点からも、学校現場の労働環境改善という点からも、公会計化を進めるべきであると改めて強く指摘します。

 

区民が人生でどんな困難を抱えても、安心してこの地域で暮らすことができるよう支える体制を作るためには、数値では測りがたい、人材育成、支援の質の向上がより一層必要であると申し上げ、討論を終わります。