12月5日、区議会の本会議で一般質問をしました。

一般質問は区政についてどんなことでも質問できる機会ですが、練馬区議会は年1回ずつ皆質問をするというルールを作っており、今回が今年度の私の質問の機会でした。

介護保険と高齢者福祉、図書館、自殺対策、勤労福祉施策、手話という言語について、というテーマで質問しました。

ひとつずつご紹介していきますが、図書館の問題がこのところ動きがあるもので、今後状況の変化も起きてくることが考えられますので、実際の質問内容の順番とは違いますが、まず図書館のことからご報告します。

 

動画はこちらに載せましたので、あわせてご覧ください。

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(かとうぎ桜子)

図書館について伺います。

練馬区には12か所の図書館と1つの分館があり、2008年度以降順次指定管理者制度が導入されてきました。

そして、現在は光が丘、練馬、石神井の3館が直営で区としての図書館の水準を維持し、指定管理者導入館への指導に活かしていくという考えで進めてこられたかと思いますが、今後、練馬、石神井にも指定管理者制度を導入しようという方向に、区は方針転換しようとしているということです。

 

図書館は、どんな人にも無償で情報を提供する知の拠点といえる場所であり、その情報提供の専門性は数値だけでは測れない対人サービスの専門性であるといえます。特に練馬区では今まで、専門性を有するスタッフを非常勤の専門員として雇用し、活躍していただいてきた経緯があります。指定管理者の導入が進む中で現在専門員の方は光が丘、練馬の2館に合計57名配置されているということですが、練馬に指定管理が導入された場合、専門員はどうなるのか、またその蓄積してきたノウハウが失われることを危惧します。そこで、図書館の役割と今後のあり方についていくつか質問します。

 

まず、図書館の大切な専門性のひとつであるレファレンスについて伺います。

今回の質問をするにあたり、各図書館におけるレファレンスの状況を光が丘図書館長にお聞きしましたところ、受け付けている件数は出るものの具体的な内容の説明資料はありませんでした。レファレンスは図書館のとても大切な機能ですので、指定管理者制度を導入している館において適正な図書館運営をできているかどうかの指標のひとつとして、レファレンスの質を見ることは重要であると考えます。

また、区の図書館として対応したレファレンスのノウハウと情報の蓄積を区として行なっていくことが図書館サービスの質の向上のためにも重要であると考えますが、指定管理導入館のレファレンスの内容的な状況の把握と質の向上についてどのように取り組んでいるかを伺います。

 

次に図書館における障害者サービスについて伺います。

図書館においては、点字資料、録音資料の作成や対面朗読、音声ガイド付き映画会、手話付きお話会などの取り組みをしていると伺いました。

障害のある方に対する図書館のサービスは、資料をお渡ししたりイベントを催すだけではなく、それを通じて利用者のニーズを把握し継続して適切な情報提供に努めること、また必要な場合福祉サービスなど区の他のサービスにおつなぎすることも重要な役割ですし、点字・録音資料の作成は質の向上を図るための支援も必要です。

現在、対面朗読のコーディネートは光が丘の窓口を委託している事業者にあわせて委託されており、録音資料の作成のためのボランティア対応などは光が丘の区職員で行なっていると伺いました。窓口は光が丘で、場合によって直営の職員対応の時と委託職員の対応の時があり、さらにその後光が丘以外の図書館での個別対応もあることを考えると、区として図書館における障害者サービスの一体的な体制を取れなくなっているのではないかと危惧します。

そこでまず、各図書館での障害者対応についてはどのように実施し、ノウハウを蓄積し対応しているのかを伺います。また、区立図書館としての一体的な障害者サービスの提供のため、例えば専門員が専門性を持って全体をコーディネートするなど、体制の充実を図るべきと考えますが、区の方針をお聞きします。

 

次に指定管理者制度について伺います。

図書館は今まで述べてきた、レファレンスや障害者サービスをはじめとした専門性を必要とし、また行政の他部署との連携や区の政策との深いつながりを要するという点で、そもそも指定管理者制度にはなじまないということは、今まで文部科学大臣、総務大臣からの発言もあったところでした。

そして、総務省の「地方行政サービス改革の取り組み状況等に関する調査」によれば、2017年の全国の市区町村の指定管理者導入率は17.4%で、高いとは言えない状況です。また、日本図書館協会が2017年12月にまとめた調査によれば、いったんは指定管理者制度を導入したものの直営に戻すという自治体も13カ所あったといいます。

全国的に見れば図書館への指定管理者の導入は決して時代の趨勢とはいえない状況ですが、こうした状況の中でなぜ練馬区は今あえて、従来の直営3館体制から、新たに指定管理を導入しようとするのでしょうか。区の考えをお聞きします。

23区は全国の中では比較的指定管理の導入が進められており、1館のみを残して他を指定管理にする区もあります。しかし一方で23区の中にも図書館は直営で運営するという考えを示している区もあります。

23区で指定管理を進めるところが多い状況にあるということがもし、今回練馬区が新たな指定管理を導入しようとする理由であるならば、図書館の理念や役割、社会全体の状況ではなくごく一部のみを見ての短絡的な対応だといわざるを得ないと指摘して、次の質問に移ります。

 

(教育振興部長)

私から、図書館と手話教育に関するご質問にお答えいたします。

はじめに、図書館におけるレファレンスについてです。

 

指定管理者制度を導入している各図書館では、日々の窓口における相談や検索の内容が図書館全体に関わる場合には、全図書館における業務処理の共通基盤である図書館情報システムに入力し、各図書館で情報を共有しています。また、広く利用者の参考となるよう、レファレンス事例を図書館ホームページに掲載しています。こうした取組を進めることにより、レファレンスサービスの把握と質の向上を図っています。

 

次に、障害者サービスについてです。

図書館では、点字資料や録音資料を整備するとともに、来館が困難な障害者に郵送による貸し出しのほか、ボランティアの協力により対面朗読サービスを行なっています。これらのサービス提供は、光が丘図書館が統括館として行っています。現在、正規職員と図書館専門員がチームを組んで担当し、障害者サービスに係る全体調整とノウハウの蓄積を行なっており、今後も、障害者サービスの充実を図ってまいります。

 

次に、指定管理者制度の導入についてです。

図書館に対する区民のニーズが多様化する中で、指定管理者による区立図書館サービスは、利用者アンケートで満足度が平均90%以上となるなど、高い評価を受けています。こうしたことから、民間事業者においても十分に区民のニーズにこたえられるサービスが提供されているものと考えております。また、特別区の図書館における指定管理者制度は、既に15区で導入されており、全区立図書館232館中52%にあたる120館に拡大されております。練馬、石神井の指定管理者制度導入についても、区民サービスの向上と効率的な図書館運営が図られるものと判断しています。

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どうせ「23区の状況を見ると」という答弁をするんだろうと思って、あらかじめ「23区内だけで比較をするのは短絡的ですよ」と指摘しているのに、それでもやっぱりそれを理由にして恥じないんだものなぁ…。

それから、業務の質を測るのに、利用者アンケートに過度に頼るのは私はバランスに欠けると思います。特に福祉や教育分野など、その専門性を向上させるには目には見えづらい部分があるものについては、例えば利用者への受け答えの感じが良い、というようなことだけでは判断できないことがあるからです。(もちろん感じが良いことは大事ですが、それだけがあればいいわけでもない。)

区の説明はまったく理解できません。

1月中旬までを期限として現場で働く職員の方との交渉をしていると聞いています。図書館で働いてきた方は、その専門性に誇りを持って、練馬区の図書館の質を高めようという思いで頑張っていらっしゃいます。今後の状況もしっかり見ていかなければなりません。