10月17日の議会最終日に、決算について反対討論をしましたので、その内容をご紹介します。

 

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市民ふくしフォーラムとして、2017年度一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険会計および後期高齢者医療会計の決算の認定に反対し、決算の審査の過程で見えてきたいくつかの区政の課題を指摘いたします。

 

1点目に指摘したいのは、性暴力被害や犯罪被害、自殺対策の充実を通じ、区民の生活課題に向き合う施策をより進める必要があるということです。

今回の決算特別委員会で、性暴力被害者支援の取り組みについて区がどのように進めているかを質問した際、都が委託して実施しているワンストップセンターNANAの紹介をはじめとする啓発・情報提供をしているという説明がありました。性暴力被害者支援のためにワンストップセンターの設置が必要であることは国の犯罪被害者等基本計画の中でも言われており、被害直後の人への支援という意味で重要な施策ではありますが、一方でそれだけでは被害者支援としては十分ではないと考えます。被害直後だけではなく、被害から何年たっても心身の不調に悩む人は多くいるため、継続した相談ができる場についての情報発信についてより工夫をしていく必要があります。

 

性暴力被害のみならず、犯罪被害者支援全般についても同様の課題があるといえます。中野区では犯罪被害者支援の相談窓口を設置していることにより、他の誰にも相談しづらいという思いを抱えた方が、10年以上前の被害が今でもつらいのだという話をしに来られると聞きました。このように区役所に、手続きを機に立ち寄られた区民が、心身のケアも含めたサポートにつながるきっかけを作ることは自治体としての大きな役割といえます。

区役所に来たら、何度も繰り返し同じ話をしないでもサポートが得られること、二次被害を受けないこと、そして、悩みごとが発生してから時間が経っても安心して相談できる場があるということは、今区が進めようとしている自殺対策の取り組みの中でも考えていかなければならないことです。

区民の悩みに寄り添う施策をよりきめ細かに進めていく必要がありますし、現状ではまだまだ手が届いていない部分があると指摘いたします。

 

指摘したい課題の2つめは、高齢期に安心して暮らせる地域づくりについてです。今回の決算の質疑の中で、区内の都市型ケアハウスに100人ほどの待機があること、生活保護を利用していて都外の老人ホームに入居している方が217人いらっしゃるということについて取り上げました。

生活保護を利用されていなくても、年金がそんなに多くはないという区民の方には、同様の事態が起こっていると考えられます。

特にケアハウスやサービス付き高齢者住宅は介護を手厚く受けることを前提にしている施設ではないので、入所者の主たるニーズは介護以外にあると考えられます。自分の暮らしている地域を離れても施設に入所せざるを得ない理由はどこにあるのか、まずは区として、ケアハウス、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に入居されている方の実態把握と、各施設にかかる費用や入居・待機の状況の把握を進め、高齢期に住み慣れた地域で暮らすために今不足していることは何なのか、体制整備に向けて検討を進める必要があります。

 

3点目は、手話を言語として保障するための施策についてです。練馬区議会では2014年に手話言語法の制定を求める意見書を出しており、また現在区議会には手話言語条例を求める陳情が出されていますが、そうした動きが起きる背景にある、当事者の思いをしっかりと受け止める必要があります。

今回の決算では、学校教育における手話言語について質問をしましたが、漠然とした答弁しかなく残念でした。

手話をコミュニケーションツールの保障として捉えるだけではなく、独立した言語として捉え、手話に関わる施策をろう者の人権保障という観点で捉えていく必要があります。

 

生活上の困りごとを抱えた人、ご高齢の人、障害のある人が、ここに暮らして良かったと思える練馬区を実現するために、より一層の体制の充実を求め、討論とします。