全款補充質疑2日目、10月3日の質問はまず、成年後見制度について聞きました。

私も社会福祉士なので、地域で暮らす人を支える手段のひとつとして、私自身、成年後見を受任できるよう勉強を始めようと、昨年思いました。ちょうど昨年から社会福祉士会のシステムが厳しくなって、思い立ったからといってすぐに成年後見人にはなれなくて、数年研修し続けないとならないので、私の取り組みはまだまだ時間がかかるのですが。

 

ただ、昨年学ぶ中で、うーむ、これはなかなか課題も多い制度だなと思いました。後見人となる人が被後見人を「当事者主体」の観点で徹底してサポートできる人であることが大前提になっている。でも、完璧にだれかの権利擁護ができるという人がどれだけいるでしょうか。少なくともチーム対応しないと権利侵害は必ず起きるといって良いと思います。権利侵害は、虐待や横領といった明確に犯罪となるような問題だけではなく、「本人のため」という信念のもとに実態は専門職の自己満足にしかなっていないものも含みますから。

チーム支援体制や、トラブルが生じた時の解決方法をより確立させていかないといけない現状があると感じています。

 

ただ、現在も成年後見制度を利用されている方がいて、その人たちがより良く生活できるサポート体制を考えていかねばならないこと、また地域で暮らしていく上で契約や金銭管理、自分のことを自分で決める権利を保障するしくみを作ることは一つの大きな課題であることから、成年後見制度にはしっかり向き合っていく必要もあると考えて、質問しました。

 

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〈かとうぎ桜子〉

権利擁護事業経費で、成年後見制度について伺います。

保健福祉費の質問の際に、高齢者の住まいについて質問しましたが、都市型ケアハウスに100人ほどの待機があり、生活保護受給者で都外の老人ホームに入っている人も217人いるということでお話をしました。

 

特にケアハウスは、介護の提供を前提としているわけではないので、入居希望の方の主な生活のニーズは、介護ではないだろうと言えると思います。

それは、有料老人ホームやサービス付高齢者向けの住宅でも、同じようなことがあるのではないかと思います。

だったら、なぜ自宅を離れて施設に入らざるを得ないかということを考えると、住み慣れた場で暮らすためには、介護だけではなくて、見守りや相談など、多様なサポートの確立がもっともっと必要だということなのだろうと思います。

地域で暮らすためのサポート体制を築いていくために、成年後見制度は重要な役割を持つと思います。

でも、現状では十分に活用されているとは言えないし、利用者が安心して活用していくためには課題も多いと思います。

 

2016年に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が成立しました。

国が基本計画を作る中でも、指摘されている制度の課題は、例えば後見に比べて、保佐や補助の利用が少ないこと。被後見人になることで、権利制限が多くあること。後見人を支援する体制が不十分であること。福祉的な視点からの身上保護や意思決定支援が不十分であること。といったことが挙げられています。

 

このような制度的な課題も踏まえて、よりよい仕組みを作るために取り組んでいかなければなりません。

区としての成年後見制度の基本計画の策定に向けて、現在の検討状況を伺います。

 

〈福祉部管理課長〉

現在区では、練馬区地域福祉のまちづくり総合計画を策定しておりまして、計画年度は平成31年度までとしております。

この計画を改定するときに合わせまして、成年後見制度の利用促進計画という形を、そういった位置づけを合わせ持った計画に改定していきたいと考えております。

また、内容といたしまして、現在国の先ほど委員がおっしゃいました計画、区の計画に示されております権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築、これについて具体的に今は検討を進めているところです。

 

〈かとうぎ桜子〉

地域で暮らしているご高齢の方や障害のある方が、自分らしく安心して暮らすために重要なことは、その人を専門職であっても誰か一人だけが支援するのではなくて、チームで支援できる体制づくりではないかと思います。

特に成年後見制度は、金銭管理とか、契約とか、意思決定という侵害されてはならない重要な権利にかかわるため、なおさらチーム支援が大切だし、それは後見人にも、被後見人にも両方にとって必要な体制であると考えるのです。

そうしたチーム支援の体制づくりについては、どのように考えているか、お聞きします。

 

〈福祉部管理課長〉

区の関係の部課だけを考えてみても、福祉部管理課のほかに障害の部分、それから福祉事務所、高齢の部門、あとは精神の保健予防課など、関係する部課はたくさんになります。そこと、あとは社会福祉協議会で検討したうえで、さらに別途専門職として、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会とも意見交換を行いまして、専門職からの賛同もいただいているところです。

今現在、社会福祉協議会と地域包括支援センターであったり、あと地域生活支援センター、地域包括支援センターなどの関係機関、それに専門職もメンバーにいたしまして、高齢、障害、精神の分野を横断的な介護を実施するということが、ネットワークづくりになると思っておりますので、準備を進めているところです。

 

〈かとうぎ桜子〉

外郭団体の質疑の際に、社会福祉協議会の考え方も聞いていきたいと思うのですが、区としても、地域福祉の充実のために、成年後見制度について、区民にもわかりやすく、安心できる仕組みにしていけるよう取り組みを進めていただきたいと思います。