今回は、2018年3月9日の練馬区議会第一回定例会最終日の本会議で、2018年度予算の反対討論をした内容をご報告します。

 

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市民ふくしフォーラムとして、議案第1号2018年度一般会計予算、議案第2号国民健康保険事業会計予算、議案第3号介護保険会計予算、議案第4号後期高齢者医療会計予算に反対の立場で討論をします。

 

区の役割は、区民の人生で起こり得る様々な出来事、困りごとを社会的課題として捉え、寄り添い支えることです。

生活の中に起こる課題にどんなものがあり、それにどう対応することが最善なのか、答えは見えづらいものですが、だからこそ幅広い視野を持って施策に取り組む必要があります。

 

例えば今年度から始まったひとり親家庭対象の訪問型学習支援事業は、委託先の事業者も、現場に関わるスタッフも、学習塾や家庭教師の経験など学習面での実績を重視しているようですが、もっと福祉的視点からの専門性の重視と、福祉的視点の育成を考えるべきではないでしょうか。家庭に訪問し、学習を通じて行なう日々のやり取りの中で生活上の課題が見つかったとき、それをキャッチしつなげる専門性があるのかどうかが重要です。

また、この事業の対象年齢は小学4年から中学2年ですが、学習支援から生活環境の改善につなげるのが事業の趣旨であるならば、思春期の悩みや人間関係の悩みを抱える時期からのスタートではなく、対象を小学校低学年まで広げ、低学年からの関係づくりや親子ともに困ったときに相談しやすい環境づくりをしていくべきではないかと考えます。

 

障害のある人が地域で暮らす上で、移動支援は権利保障の観点で重要なものです。移動支援事業にかかる費用が大きくなっているという財政的な課題として語られることもありますが、地域で暮らす障害のある人ひとりひとりの状況に応じたきめ細かな社会参加への支援が重要であるという視点で取り組む必要があります。

 

出張所や自動交付機が廃止され、証明書の交付が受けられなくなりましたが、郵便局での証明書発行やコンビニ交付はそれを補うほどに利用はされておらず、区民事務所への集中が起きています。これは、財政的な効果を求めた結果、ご高齢の方などにとってのわかりづらさを招いてしまっている状態といえるのではないでしょうか。

 

区民の生活を、広い視野から捉えて支えていくためには、区の職員や委託先の従事者が安心して誇りを持ち働けられる環境づくりも重要です。

男性職員の育休取得状況は改善していませんが、職員のワークライフバランスについてより一層取り組むことが、将来の展望を持ち区の仕事に愛着を持って働き続けることにつながるのではないかと考えます。

委託した事業者のもとで働く従事者の雇用環境について、事業者の責任だというだけではなく、立場は違っても共に区政に取り組む仲間として、区としても環境改善に努めることに、もっと積極的になるべきです。

 

すぐに結果が数字で見えるものばかりを評価基準にして目の前の効率化に追われるのではなく、幅広い視野からの区政運営で、多様性を認められる社会を実現することを求めて反対討論とします。