2月22日の保健福祉費と、それで時間が足りなかったので3月2日の「全款補充質疑」で、障害者制度の報酬改定について質問しました。

特に、地域で暮らす障害のある人が働く場が、稼げる場かどうかで評価されるほうにばかり偏重していることに疑問を感じているためです。

それに対して、担当課長が、作業所で働く意味は、単に工賃を稼ぐことだけではなく、「働くことの喜びや達成感、それから皆さんと一緒にいることも含めての作業所」という答弁をされて、素敵な答弁だなと思いました。仕事をすることの意味は、幅広くとらえられるべきなのではないかと思います。

(実際の口語では分かりづらい言い方があったので、語順を少し変えるなど、読みやすくしていますので、正確な議事録とは少し違っています。)

 

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(2月22日)

〈かとうぎ桜子〉

自立支援給付費に関連して、障害者制度の報酬改定について伺いたいと思います。

来年度は障害者制度も報酬改定があるので、2月にその内容が国から示されています。

それを拝見していると、全般的には重度の人への支援や、医療的ケアを必要とする人への対応という点が手厚くなっていると思いますが、一方、就労移行や就労継続支援といった就労系の報酬の仕組みが大きく変わっているとも思いました。

その変更はどのようなものか、まず、ご説明いただけますか。

 

〈障害者サービス調整担当課長〉

今回は、国が、障害者の方の適性、能力に応じて工賃が(報酬の評価基準に)入る形をとっているようです。

中身を見ますと、今までは一律で給付がされていたものの基本単価のところですけれども、定員、それから平均工賃という形で、ここに報酬の単価が変わってきたと考えています。

 

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ここで時間ぎれで、続きは以下、3月2日。

〈かとうぎ桜子〉

自立支援給付費に関連して、障害者制度の報酬改定について、保健福祉費のときに質問した続きを伺います。

 

来年度からの障害者制度の報酬改定での就労系のサービスについてどのように変わるかというところまで、保健福祉費の際に質問しました。

そして、その際ご答弁いただいたのは、就労継続支援B型事業所のことが中心だと思いますが、今まで一律だった報酬がその事業所に通所する利用者の平均工賃や利用者の人数によって変わるというご説明をいただきました。具体的には、平均工賃が5000円未満、5000円以上1万円未満、1万円以上2万円未満というように、金額の段階ごとに事業所に入る報酬が決まるという形になるようです。それにより、平均工賃が1万円を超えない事業所は今までと比べて報酬が下がる形になっています。

 

区立の作業所や昔から活動している作業所は、現在B型として活動していることが多いわけですけれども、区内B型事業所の平均工賃の資料をいただきました。

それを拝見すると、約半数の事業所が、工賃が1万円に満たない状況です。障害のある人が働いて、できるだけたくさん工賃が貰えるように事業所として努力することも大事だと思いますが、一方で、障害のある人の高齢化という問題は、区も言っているところだと思いますし、体調によってはそうばりばりと働けない方もいらっしゃると思います。また、精神障害のある人にとっても、体調に応じた働き方ができないと厳しいということがあると思います。

そういう当事者の実態を考えると、事業所の努力だけで稼ぎを上げるのはなかなか難しい面もあると思います。

今回の報酬改定の中で、障害基礎年金1級の受給者が利用者の半数を超える場合は、実際の平均工賃に2000円を上乗せした額を報酬の計算のもとにするという一応の配慮もあるのですが、これもなかなか厳しい条件であると思います。

区内のB型事業所の状況を区としてどう捉えているかを伺います。

 

〈障害者サービス調整担当課長〉

区内には複数の就労継続支援事業所があります。

その中でも平均工賃は、約4000円から3万円を超すところとばらつきが見られます。

障害状況、作業種別によって差が見られるものです。

今回の報酬改定案の基本報酬部分だけでいいますと、なかなか今までの報酬を上回るところが見られないのも現状です。加算等の算定状況、それから高い工賃を維持していくところについては、給付額が上がることもございます。

作業所のサービスの向上、工賃向上の工夫が強く求められておりますし、その強化をし、作業所に通われている方にとって、働くことの喜びや達成感を感じながら、地域で自立した生活を実現できるように取り組んでいきたいと考えています。

 

〈かとうぎ桜子〉

国の改定の中でも、障害のある人の高齢化や障害の重度化については対応すべき点として取り上げられていますが、それにもかかわらず働いている障害のある人の高齢化や重度化への十分な配慮がないのではないかと私は疑問に感じています。

今、仕事の働き方の多様性というか、やりがいというか、そういうお話をいただきましたけれども、稼ぐということだけが仕事の目的ではないと思うので、稼ぎに偏重することによって、障害の重い方の中には、通所できなくなる人とか、家に閉じこもり状態になってしまう人を生み出すことにつながるのではないかと懸念しております。

まずは、区として現場の実態の把握に努めていただきたいと思いますし、それをしっかり国に伝えて、実態に合った制度になるようにしていただきたいと思います。その点についてお考えがあればお聞かせください。

 

〈障害者サービス調整担当課長〉

区内の作業所については、ネットワーク化を図りまして、こちらでもいろいろな状況の勘案をしているところです。

障害者の方の高齢化、それから重度化についても認識しており、今ある障害者の方が通われている作業所についてのあり方、それから役割も変わってくるものと考えています。

そういった意味の捉え方もし、今回の報酬改定についてもしっかり考えていきたいと思っております。

作業については、単純に作業所に通われている方々の工賃ということではなく、先ほども申しましたけれども、働くことの喜びや達成感、それから皆さんと一緒にいることも含めての作業所と認識しているところです。

 

〈かとうぎ桜子〉

多様な働き方をぜひ区としても大事にしながら、現場、また当事者の方と関わっていっていただければと思います。

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皆で一緒にいることも作業所の意義だという答弁が素敵だなー、「いることに意味がある」ってドリアン助川みたい…と考えたりして、答弁に感動してぽーっとしてしまい(笑)、最後の一言で何を言って良いかわからない状態になって質問を終えました(^^;

いやでも、冗談じゃなくてほんとに素敵な答弁ですよね。仕事の意味の幅広さって、当たり前のことのようだけれど、それが当たり前にはなっていない現状があるからこそ。