ユニバーサルデザインのまちづくりを進めるために区がガイドライン作りをしているということで、今までも何度か取り上げてきました。(こちら

 

公共施設や公共交通機関のバリアフリー化はだいぶ進んできているけれど、その間の経路にバリアがあることも多いため、まち全体のユニバーサルデザイン化を進めなければならない。連続した経路は、区の持ち物ばかりでもないので、多機関が連携して進めなければなりませんが、そのためのガイドライン作りということです。

 

今回も進捗状況などを聞いたのですが、ひとつ提案をしました。

質疑は、時間が不足して十分に言えなかったこともあったので、まず何を言わんとしたのかの説明を書いた上で、当日のやりとりを記載します。

 

区が現在進めているのは、区立施設までの経路の検証ですが、区の施設だけではなく、民間であっても公共的な役割を持つものも多く、特に福祉的な施設(例えば民間の福祉施設や、区が区民に任せている相談情報ひろばなど)は移動に配慮を要する人も多く利用するので、そこまでの移動のしやすさも課題なのではないかと。

 

「現状では区立施設までの経路もまだ不十分なので」という区の答弁も十分理解できるのですが、例えば民間施設までの経路のバリアフリー化に区が補助金を出すといったハード面の支援という対応だけではなく、今あるものを活用した工夫もできるのではないか、区として区民に対してそういう情報提供をすることも役割なのではないか、ということを言いました。

 

というのは、今回この問題を取り上げるにあたって、事前に、障害のある人に普段関わりのある人やバリアフリーに詳しい人と意見交換をしたのですが。

例えば視覚障害のある人は点字ブロックを目印に移動しますが、まちには点字ブロックがついていない場所も多くあります。基本的に、安全性の確保という観点からなのだと思いますが、点字ブロックは歩道につけることになっているそうで。だから住宅街には点字ブロックはほとんどないわけです。

 

最寄駅から自宅のように、毎日行き慣れた場所であれば、道路の傾き具合とか、交差点に近づいて周りの音が開けた感じがするとか、パン屋の香りがするとか、そういうことで判断をしながら歩いているので、必ずしも点字ブロックがない場所でも移動できている人も多いそうです。

一方で、初めて行く場所、あまり行かない場所は、そういう目印が分からないので、ガイドがつくなどの対応が必要になる。

だから、公共施設とか公共的な施設は、点字ブロックなどの誘導があったほうが良いということで。

 

でも先に書いたように、点字ブロックをつけられる場所にも一定のルールがあるため、なかなかうまくいかない場合があります。住宅街にも人が集う場所はありますものね。

 

そこで、ひとつには、質疑の中でも少し触れましたが、秋津駅⇔新秋津駅の乗り換えの際にしばらく歩かなければならないのですが、そこに歩道がないため点字ブロックを敷設できなかった代わりに、白線のところに立体の線を2本引くという試みをしたということです。今までにないやり方ですが、話し合いの中で何年かかけて生み出した工夫ということで、こういう例も参考にしながら取り組めることを考えていくべきではないかということ。

 

もうひとつには、その場所までの目印となるもの…例えば木が多い場所だから木の葉の音が聞こえたりちょっと涼しくなるとか、美味しい匂いがするとか、こういう音が聞こえるとか…を当事者を交えてマップにしてみるという方法もあるかもしれないというご意見を伺いました。
また、来てほしい公共的な場所に香りのする植物を植えるとか、静かな音楽を流すとか(←音は騒音規制との兼ね合いがあると思いますが)、何か目印になるものを設置するという方法もあるのではないかと。

こういう、点字ブロックを敷く以外の工夫の仕方もあるので、そういうアイデアを提供することで、民間の取り組みの中でも楽しみながらユニバーサルデザインを進められるのではないか。特に後者については、ワークショップでみんなで参加してやっていくという新しいイベントにもつながると思いますので。

 

そんなことを考えて、取り上げたテーマです。

 

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(2017年9月25日 決算特別委員会にて)

〈かとうぎ桜子〉

福祉のまちづくり関連経費について伺います。

今までも何度か質問をしているガイドラインについてお聞きしたいと思います。

ユニバーサルデザインのまちづくりを進めるためのガイドラインを作るということで、以前質問した際に、2016年度は調査を実施するという答弁をされていました。どのような調査を行ったのか、そして、その調査からどのような課題が見えてきたのかをまず伺います。

 

〈建築課長〉

これまで公共施設のバリアフリー化については、建築物、公共交通施設、道路、公園など、それぞれ個別に整備を進めてまいりました。

地域福祉、福祉のまちづくり総合計画では、今後の課題として施設単独の整備から、駅と主要な公共施設を結ぶ経路など、相互のつながりを意識したユニバーサルデザイン化を進めていくことが必要であるという認識を進めさせていただいているところです。

そうした施設をつなぐ経路の整備の方針や手順を示すものが、仮称ユニバーサルデザイン経路ガイドラインでございまして、現在、作成のための検討を行っているところです。

平成28年度は、経路のユニバーサルデザイン化を進めるために当たっての課題を抽出し、必要な取り組みのための基礎調査を行ないました。具体的には、主要な駅周辺において、区立施設や道路、遠藤の状況等についての実態調査、また、他自治体の事例や既存データの分析等から、連続性を妨げる要因について整理を行なってまいりました。

その中で、駅周辺や主要な公共施設は、一定のバリアフリー水準を満たしていることは確認できました。

一方で、整備者や整備時期が異なる箇所で、つながりに問題があることも改めてわかりました。例えば、建物と道路の境界部分で点字ブロックが途切れていたり、段差が生じやすい傾向にあることがわかってまいりました。

整備や取り組みの連携を調整していくことが、課題にあると考えております。

 

〈かとうぎ桜子〉

調査の課題を踏まえて、これからガイドラインづくりをしていくことになるかと思うのですけれども、どのような観点でどのようなスケジュールで進めていくのかを伺いたいのが1点と、ガイドラインが完成した後に、どのような形での活用を考えているのかをお聞きします。

 

〈建築課長〉

ガイドラインのどのように進めるかということですけれども、今年度ですが、ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりを進めるに当たっての方針や、配慮すべきことなど、具体的なガイドラインの内容をまとめる作業を進めているところです。

高齢者、障害者、子育て世代など、さまざまな区民の皆様にご協力をいただき、アンケート、ワークショップ、ヒアリング等を行っているところです。

誰にとっても、駅をおりて町なかをを移動し公共施設で用をすませるという一連の行動が、より安全で快適なものとなるために、必要なこととは何かをお伺いしているところです。

これまでもバリアフリーの整備に関しましては、国などが基準やマニュアルを定めております。しかし、建築物、公共交通施設、道路、公園などの分野ごと、別々にまとめられていることから、先ほど申しましたように、つながりの悪さが起きている面もございます。

区民の皆様の歩行者としての視点に立って、分野をつなげるガイドラインとしていきたいと考えております。今年度中を目途にガイドラインをまとめてまいりたいと考えております。

それから、策定後の活用ですが、ガイドラインの実際の活用については、建築物、交通機関、道路、公園などの整備や整備後の管理、また、ハードとソフトの取組に当たり関係機関にお示しして、ガイドラインを尊重した整備などを促してまいりたいと考えております。

 

〈かとうぎ桜子〉

公共交通機関等から公共施設までの経路が、よりスムーズに移動できるように、社会参加しやすいように進めていくということかと思いますけれども、区の施設ではなくても公共的な役割を持っていて、配慮を必要とする人が多く利用される施設はほかにもあると思うのですが、例えば、民間の福祉施設であるとか、相談情報広場であるとか、社会福祉協議会が持っているような拠点であるとか、そういうところについてもユニバーサルデザイン化では課題があると思うのですが、その点はどのようにお考えかをお聞きします。

 

〈建築課長〉

今回のガイドラインの検討は、駅と主要な区立施設を結ぶ経路を対象と考えて整理を進めているところです。

まだまだまち全体のユニバーサルデザインによる整備が不十分な段階であり、まずは多くの区民の皆様がご利用される主要な区立施設に至る経路について、ユニバーサルデザインに配慮したしえびの取り組みを始めたいと考えています。

ガイドラインには、ユニバーサルデザインの考え方や工夫についても示しています。

区民や民間事業者の方が主体的な取り組みを進める際にも、参考にしていただける部分もあるかと考えています。

 

〈かとうぎ桜子〉

例えば、秋津駅と新秋津駅の間は歩くのですけれども、そこを点字ブロックは敷けないという課題があったようです。白線のところに立体的な二重の線を引く取り組みをしています。そういう新しい取り組みついても、区で取り組めないかぜひ検討していただければと思います。

それから、公共的な民間施設等についても、区がお金を出すだけではなくて、例えば、視覚障害のある人に、点字ブロックがないならば、音であるとか、においであるとか、そういうもので工夫して、わかりやすい場をつくるといった情報発信などもしていただければと思います。