前回の質問の次は、9月20日の区民費等の質疑だったのですが、この日に質問した続きをまた9月29日にも質問しまして、そちらもまとめてご報告したほうが分かりやすいと思うので、今回のブログでは先に9月21日の産業経済費・環境費の質疑の日の記録を載せます。

 

私は、環境費の中の太陽光発電のことを中心に自立分散型社会について質問しました。

 

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(2017年9月21日 決算特別委員会にて)

 

〈かとうぎ桜子〉 

自立分散型エネルギー社会推進経費に関連して伺います。

エネルギービジョンの中にスマートハウスの普及を推進すると書かれていますが、具体的にはどのように進めていくのかお聞きします。

 

〈環境課長〉 

区民の皆様には、再生可能エネルギー・省エネルギー設備設置補助金によるHEMSの導入により進めていくと考えています。

区としましては、スマートハウスの普及については、エネルギー対策の先進地を視察するなど新たな動きにも対応できるように準備しています。

 

〈かとうぎ桜子〉 

さまざまな準備をしていくということですけれども、自立分散型エネルギーということで、太陽光発電を例にとって見ていきますと、設備設置に対する補助制度は、国や都の状況は縮小傾向にあるようにも聞きます。

そういう動きは区としてどのように捉えているか。またそうした状況を踏まえて、今後、区としてのエネルギー施策についてどのようにお考えになっているかをお聞きします。

 

〈環境課長〉 

太陽光発電もそうですが、新しい技術を使った製品の初期段階は、導入費用が大きくかかるものです。その後、量産化されることによって価格もこなれてくるといったことがございます。

太陽光発電システムも、発売当初は大分経費がかかっていたものが、現在ですと概ね1キロワット当たり30万円から40万円程度ということで、大分安くなってきています。

こういったところから、国や都の補助金も初期には高く、その後、量産化されてくることで補助額が下がって来ることはあると思っています。

区としては、再生可能エネルギー、また省エネルギー機器導入を促進する動機づけとすることから、補助を続けていきたいと考えています。

 

〈かとうぎ桜子〉

エネルギーをそれぞれの家庭や地域で自給自足を進めていくことであるとか、災害時を考えてもそれぞれに備えていける―各家庭で備えていけることは大切だと思います。そこで実際に、どうやったら区民がより一層行動に移せるかが課題になってくるかと思います。

区が太陽光発電装置に関しても補助しているということで、1件あたり6万円ということなのですが、これは、ほかの区の状況などが都のホームページに載っていたのですけれども、そういうのと比べると比較的それほど高い方ではないと感じました。

1件あたりいくらというやり方についても、ほかの区は1キロワットあたりいくらということが多いようにも思います。例えば、お隣の板橋区だと、1キロワットあたり2万5,000円で上限額が10万円までの補助という形です。

「補助の仕組みをどうつくっていくかという考え方」だと思いますけれども、区の考え方をお聞きします。

 

〈環境課長〉

確かに、キロワットあたりの単価で定めているところもございますが、そういったところでは導入の件数も少ないといったところもございます。

区としては、導入経費に要する補助ということで行なっていまして、機器等の平均導入単価の一定割合を補助としています。

限られた予算の中でより多くの方に導入いただきたいということから、現行方式が妥当だと考えています。

 

〈かとうぎ桜子委員〉

太陽光の補助に関しては、太陽光発電が始まったころに比べると機械が安くなってきているという話も先ほどありましたし、固定価格買取制度の仕組みが充実してきているということもあるのかと思います。

ただ、そういう形であったとしても、初期費用はかなりかかってしまうかと思います。例えば、メーカーのパンフレットを見てみると、戸建につけるプランの例として示されているのは200万円台から400万円台ですし、停電時にも使える蓄電設備はそれとはまた別に100万円以上かかるというプランが載っていました。

エネルギーの自給自足であるとか多様化であるとか、災害時の備えが必要だと多くの区民の方々がお感じになっていたとしても、現実問題として数百万円単位で初期投資するのはなかなか厳しいとお感じになる方も多いかと思います。

そうすると、往来どおりの電気を使おう、電力会社で購入する形でいいか、ということになってしまって、自立分散型に近づけないという懸念をします。

例えば、補助だけではなくて貸し付けだったらできるかどうかとか、災害時に地域の方も使えるようにする工夫をするなら補助を上げるとか、何か新たな取り組みを考えることも必要なのではないかと思います。

啓発についても、エネルギービジョンを載せるだけではなくて、より積極的な啓発も必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

〈環境課長〉

初期投資に要する経費は、確かに多額の経費がかかることは承知してございます。ただ、私たちが導入の補助をしている中で見る限りでは、そこまで高くないのではないかと考えています

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エネルギービジョンで自立分散型のエネルギーを目指すという目標を掲げていることは良いとは思うのですが、区立の施設であれば、改修の際に太陽光などの発電設備を設置する等の形で対応できるけれども、区民が行動に移すにはハードルが高いということを感じて質問しました。

最初の質問のスマートハウスのことだって、結局区としてどうやって実現させていくのか、良く分からない。「視察するなど」としか言ってなくて、視察した上でどう実現するのだろうか、と思います。

 

この日、他の会派の議員さんが「さいたま版グリーンニューディール事業」というものを取り上げていて、「へー、面白いな」と思いました。調べてみたらこちら(日本経済新聞の記事)

一部記事を引用しておきます。

「さいたま市は2018年度に、住民や中小事業所が初期費用の負担なしで一戸建て住宅、事務所の省エネリフォームができるようにする事業を始める。特別目的会社(SPC)がいったんリフォームに必要な代金を立て替え、住民はリフォームで実現した電気代削減分の中から代金を支払っていく。」

 

これ、面白いなと思います。来年度から実施ということなので、どう動いていくか、ぜひ見守りたいと思います。

このように、補助だけではなくて初期費用をなくして少しずつ返す方法など、工夫をしていく必要があると思います。

 

あと、質問の中で時間が足りなくなってしまって言葉足らずでしたが、例えば外壁に電源をつけて、緊急時には地域開放するということを条件にした場合、公共性があるからということでもっと補助をするという方法も考えられるんじゃないかと思ったのです。

 

それにしても、課長の最後の「そこまで高くない」っていう答弁は、いかがなものかと思います。

各家庭に設置して各家庭が活用するものに対して、どこまで公費を入れるのか。エネルギー転換や災害時対策といった公共性と、個人の持ち物という部分との線引きをどうするか、整理しながら進める必要はあるとは思います。

 

でも、現状でできないからといって、「高くない」と、事実のほうを捻じ曲げるのはおかしいのではないか。

数百万の初期投資を「高くない」と感じるかどうかは、個人の感覚であって、それを言っちゃったら「へー、区役所の課長さんともなると数百万を高くないと感じるんだね」という、「感覚の対立」にしかならないじゃないですか。感覚的な答弁は、前向きな結果を呼ばないと思います。

そして、簡単には実現が難しい課題であっても、まずは区民の視点に立った現状認識からスタートしなければ、新たな対策も生み出すことはできないと思います。