10月14日、区議会の最終日には本会議で議案の賛否の結論を出し、各会派がその議案への賛成理由、反対理由を述べる討論をします。

本会議の様子は、練馬区議会のHPから動画を見ることができます。こちらの10月14日の動画をご覧ください。私は動画の1時間12分くらいのところで登壇します。

 

私は前回のブログでご紹介したように、2015年度決算は公共駐車場会計以外は反対をしましたので、反対の立場から討論をしました。以下がその内容です。

 

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市民ふくしフォーラムとして、2015年度一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険会計および後期高齢者医療会計の決算の認定に反対の立場から討論をします。

 

今回区が示した区政改革計画の案の中では、「新たな方針を定めて委託化・民営化を進める」としています。

 

今までも練馬区では指定管理や業務委託という方法で、区の施設管理や業務を民間に任せてきました。今回の決算でも物件費として前年度比15億1100万円、4.2%の増という形で委託が拡大されてきた状況が表れています。

 

委託に関する新たな方針を定めるというのであれば、そもそも区の関与のもとに事業を実施していく意義は何なのか、区の役割は何なのか、それぞれの事務事業を通じて見えてくる公共性の意味について、この間の取り組みをふまえて再度検証することがまずは必要であると考えます。

 

また、委託を受けた事業者のもとで働く従事者が安心して誇りを持って働き続けられる環境づくりには、区としてもっと積極的に関与していくべきです。例えば、現場で働く従事者が区民とのかかわりの中で区民目線に立ったより良い対応ができるような体制づくりをすること、研修の充実を図ること、その事業のこれからの展望を描ける環境づくり、従事者が専門性を高めながらその職場で働き続けられる環境づくり、そしてそのための事業者と区との間の明文化されたルール作りなどです。

 

そうしたことをやっていくためにはまず、区が事業の課題の整理・検証をすることや指定管理者との関係について検証する材料として、今回決算の審査の際に取り上げた、労務環境調査を区としても積極的に有効活用していくべきです。

 

そもそも、従事者が安心して働ける環境づくりが必要なのは、委託した事業に従事する者のことだけではありません。区の職員についても同様です。

 

区政改革計画の案には、区職員の人事制度や職員育成についても記されていますが、まず区職員が区民とのかかわりのなかで培ってきた経験や専門性を十分活かして働くことができるようにすることや、日々の業務で様々な困難に出合ったときに職場内でお互い助け合える環境づくりをすることが、区民ひとりひとりに寄り添う区政を進めるためには欠かせませんが、計画案の中ではそういった点については十分に触れられていないことからも、現状の取り組みや問題意識は十分な状況にないと考えます。

 

特別会計については、介護保険は要介護認定の低い人が制度から外される方向にあり、介護が必要になった時に安心して利用できる制度に発展していくのか、高齢者や家族に不安をもたらしています。

 

国民健康保険、後期高齢者医療についても、地域で生活をしていくにあたって先の展望が描きづらく不安をもたらす現状は同様ですが、区としてそうした区民の不安に寄り添って、地域でできることをもっと考えていくべきです。

 

以上の理由から、現状の練馬区の体制は不十分であると考え、決算の認定に反対し、討論とします。

 

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前回ご紹介した意見表明と、今回の反対討論の中で、「区の職員が働きやすい環境作りもしなくちゃいけないし、その点は不十分じゃないか」ということを言いました。その理由を少しここに書いておきたいと思います。

 

予算特別委員会・決算特別委員会は、議員全員と、区長や副区長、教育長、そしてその日の質疑のテーマの担当部署の部課長が入れる会議室で行ないます。

机がロの字に並んでいてコの部分に議員が座り、左のⅠの部分に区長をはじめとする行政の人たちが座ります。

私は、コの一番左のほうに座っているので、行政の人たちの様子が良く見えます。

 

今回、他の議員の質疑を聞いている中でずっと気になっていたことがありました。

時たま議員からの質問に対して行政の人が分かりづらい答弁をしたりちょっと冗長だなという答弁をしたりしてしまった時に、それを聞いている区長をはじめほかの部課長の中に、冷たい空気が流れているように見えたのです。「ああ、へたくそな答弁だな」と冷笑するような雰囲気が、ちら、ちら、と見られるようで。

 

管理職は、その担当する部署の方針を立て、部下が区民の立場に立って働きやすいような職場づくりをしたり、それを議会や区民に対する説明会などでもきちんと伝えていく役割があるから、答弁も自信を持って明快な答弁をできるに越したことはないと思います。

だけど、人には多かれ少なかれ得手不得手というものがあって、必ずしもみんながなんでも得意でできるわけじゃないと思うし。人前で話すのは上手じゃないけど仕事には思いを持ってやっている人もいるだろうし…だから、上手に話すことよりも一番大切なことは、仕事に誠実であることなのではないか、とも思います。

 

私は予算や決算に反対したり、内容によっては議案にも反対したり、どちらかといえば行政のありようを追及する側の立場に立って議員活動をしていますので、そんな私が言うのもなんですが、「同僚なんだから失敗を冷笑しないでもっとお互い助け合えばいいのに」という気持ちになっていた、今回の定例会でした。

そういうことは前はそんなに気にならなかったというか、少なくとも前の区長の時はなかったと思うのです。

 

区政改革計画の中で、管理職の育成についても書いてあるけれど、大切なのはどれだけ上手な言葉で話せるかではなくて、どれだけ誠実に区民や区政と向き合えるかだ、ということがまずは共有できる職場でないと、本当の意味で優秀な人は管理職になんてなりたくないんじゃないか。失敗した人を冷笑する雰囲気が蔓延して、表面的な言葉は上手だけど区民ひとりひとりには心がこもっていない人だとか、人を蹴落とす力の強い人ばかりが管理職になってしまったら、殺伐とした職場になってしまうんじゃないか、と思いました。

 

こういう感想は、誰かからなにか内部事情を聴いてみたわけではなく、会議中に私が見ていて、行政の席のほうから見える表情や、聞こえてくるため息や、つぶやきや、そういうところで感じただけのことなので、私の気のせいかもしれないし、杞憂であるならそれに越したことはないのですが。