地方債(借金)は、地方財政法5条に起債できる条件が決められています。たとえば災害が起きて応急的に費用が必要になった場合や公共施設を建てる場合などです。むやみに借金できるようにならないためですね。

ところが今後、国は地方財政法を改正し、施設管理に関する計画を立てたうえで計画に沿うことを条件に、古くなった公共施設を壊す場合も起債できるように変えていく方針を出しています。
また、そのかかった費用は75%は地方交付税から出すしくみにするとのこと。

建物を壊すにもかなり費用がかかるので、自治体で老朽化した建物を取り壊したいと思ってもなかなか進まない。また、人口減少等により公共施設の使われ方も今までと変わってくるという中で、不要となる建物を処分しやすくするのです。

このしくみを活用するためには、まずはすべての公共施設についての把握・分析をした「公共施設等総合管理計画」を作らなければなりません。(詳しくはこちら

区内の施設の現状の把握ができる計画を作ることそのものは良いと思うのですが、ただ、起債すれば将来世代の負担になるので、壊して無くなってしまうものに対する責任を将来に回すのは安易にすべきではないでしょう。

また、以前のブログ にも書いたように、特別区は地方交付税が不交付なので、「75%分は地方交付税」というわけにはいかず、この仕組みを使って起債をした場合はすべて練馬区の借金となります。

そういった懸念材料も念頭に置いた上で、今後の施設をどのように管理していくのかについて、区民の皆さんと議論していく必要があると考えて、今回は現在の区の考えについて質問しました。


-----------以下、未定稿の議事録より------
(かとうぎ桜子)
次に、起債について伺いたいと思います。

報道によれば、国が、各自治体が管理する全ての公共施設の実態を把握したうえで、維持管理の方針を示した長期計画をつくるように促す方針を出しているようです。

計画に基づいて、施設を解体する場合には、解体費用を起債できる特別措置を認めるということです。この点について、区としては、どのように情報をとっていらっしゃるか、お聞かせいただけますか。

(企画課長)
つい先ごろ、1月末に、総務省から、各都道府県とか指定都市宛に、公共施設等総合管理計画の策定に当たっての指針(案)が示されたところです。(→こちら から見ることができます。)

こちらについては、策定について、まだ正式な要請は行われておりませんが、今後、準備するところもあるであろうから、策定に当たっての指針の案の概要をお知らせしますということで、こういったものを参考に検討するようにということです。

この中身については、先ほど(注※他の会派の質疑の中で)いくつかご答弁させていただきましたけれども、所有している施設の現状でありますとか、施設全体の管理に関する基本的な方針といったものを定めて、その中で、この施設は今後廃止をするということを明記したものについては、解体についての起債を認めるということが報道されているところです。

私どもとしましては、まず施設白書でありますとか、改修・改築計画でありますとか、それから適正配置再編の計画といったもの、個別に持っております。そういったものの内容が、この公共施設等総合管理計画には相当すると考えておりますので、今後、どういう形でまとめていくかについては、検討が必要だと思っております。全く白紙の状態からつくるということではなく、区としては、これまで積み重ねてきたいろいろなものについて、国がこういった指針を示しているので、それにのっとった形で少し整理をしたいと考えているところです。

(かとうぎ桜子)
計画に関しては、整理していかれるということですけれども、施設の解体に起債ができるようになるという点についての、区の考え方をお聞きしたいと思います。

借金をするということは、その後、返していかなければいけないということでもあります。先ほど、ほかの議論の中で、起債するということは、将来世代の負担になるという面もあって、将来の役に立つものについては、起債してもいいのではないかというお話がありましたけれども、壊してしまうことが将来の負担になってしまっていいのだろうかという意見も出てくるものではないかと思います。
 
こういった起債をするべきかどうかということについては、慎重に検討していく必要もあるかと思いますが、現在、区としてはどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。

(財政課長)
今回、条件が整えばという、先ほど言った計画をつくってということであれば、取り壊して、残りを更地にするという経費についていえば、起債をしてもいいという話になっています。

ただ、地方交付税の中で、実は起債した分については、75%は交付税で見ますという話になっているのですが、練馬区の場合は、対象ではございませんので、それがなってございません。

そういったところから、いずれにしても、壊す際にお金がかかるということであれば、諸般の事情を考慮しながら、起債も有効に活用していきたいと考えてございます。