所長の伊藤です。
棒針と言えば、先がとがった棒2本のことを指しますが、素材や形状など、さまざまな種類があります。
また、ニッターそれぞれで好みの棒針というのもあると思います。
そこで、棒針の種類について簡単に見ていきます。
・棒針の素材
棒針の素材としては、硬いものだったらほぼ何でも使えます。
そんな中でも、よく使われる素材というのがあるようです。
1) 竹
日本では最もポピュラーな素材。
硬さ、軽さ、すべりのよさを併せ持つ、棒針編みに適した素材です。
また、メーカーによっても竹の種類や加工の仕方が異なり、編み心地はそれぞれで違うようです。
カビが生えやすいので注意。
2) 木
竹に似た性質を持つ天然素材。
外国製の棒針に多く使われています。
木目の美しさを活かしたり、カラフルに彩色を施したり、見た目に美しい針もあります。
硬さ、しなやかさは竹にやや劣るかな…?
3) プラスチック
かつては日本で多く使われていたようです。
軽さは抜群ですが、個人的には糸の滑りがイマイチで、私には合いませんでした。
また、耐久性も難ありで、曲がったり折れたりしやすいようです。
4) 金属
アルミや真鍮、ステンレスなどが用いられます。
加工の仕方によっては軽く仕上がりますが、ずっしり重いものもあります。
スタイリッシュで近代的なイメージもあります。
ただ、冬に使うと熱伝導率の良さから針が冷たくなっています。
5) 新素材
各メーカー、編みやすさを追求してさまざまな素材を試しているようです。
その中でも、KnitPro (Knitter's Pride) から、カーボンファイバー素材で作られた「KARBONZ」というラインが発売されています。
軽くてしなやかで、表面の糸滑りがよいのが特長です。
ちょっとお値段がね。
・棒針の形状
1) 玉付き2本針
「編み物」と聞いて真っ先にイメージするのがこの形の針ではないでしょうか。
2本一組。もっぱら往復編み(平編み)をするのに用います。
針の端に玉があり、これがストッパーの役割をして、編地が針からこぼれ落ちるのを防いでいます。
ただ、これでは往復編みしかできず、また、肩のかぶせはぎをするときにはこの針ではできないなど(棒針だけでやる場合)、汎用性は低いです。
次項でも述べるように、4本針と棒針キャップでも代用できるので、私は自分からすすんでこのタイプを買ったり、他人に勧めたりすることはありません。
2) 4本針、5本針(double-pointed needles, DPN)
両端がとがった、4本組あるいは5本組の棒針です。
おもに輪編み(円編み)をするのに用います。
針を井桁の形に組んで、ぐるぐる編みます。
これを用いると、理論的にはどんなに小さな輪でも編むことができます。
欠点としては、針と針の境目が緩みやすいこと(影響を最小限にする方法はあります)。
また、棒針キャップを用いることにより、玉付き2本針と同じように使うこともできます。
よって、輪編みも平編みもどちらもできる、オールマイティな針であると言えます。
ただ、針の長さよりもはるかに長い幅の作品を編むときには、これではやりにくいです。
なお、長さが10cmや15cmの針も売られており、靴下や手袋などの小物を編むときに針をさばきやすいので便利です。
3) 輪針(固定式)
片側がとがった棒を、ナイロンなどでできたコードでつないだ形状の棒針。
端から端までが23cm、40cm、50cm、60cm、80cm、100cm、120cmなど、さまざまな長さのものがあります。
おもに輪編みをするのに用いられますが、平編みをすることもできます。
また、平編みでは、長い輪針を用いれば、かなり長い幅の編地を編むことができ、カーディガンの前立てやストールなどを編むときに便利です。
輪編みでは、4本針・5本針では棒の境目のゆるみが気になったところが、輪針を使うと全く心配がなくなります。
ただし、輪編みをするときは、輪針の長さよりも小さな輪を編むことができません。
すなわち「大は小を兼ねない」ということです。
例えば、60cmの輪針では、周囲70cmの腹巻は編めますが、周囲50cmの帽子は編めません。
しかし、「マジックループ」という方法を用いれば、輪針でどんなに小さな輪でも編めるようです(ただし、今度はコードとコードの境目が気になる人も出てきます)。
4) 輪針(付け替え式)
固定式の輪針の号数や長さを揃えようとすると、かなりの点数を買わなければならず、費用がかかりますし、収納するのに非常にかさばります。
これらの問題を解決する一つの方法は、付け替え式輪針のセットを買うことです。
付け替え式輪針は、棒の部分とコードをネジで付け外しできるようになっています。
針先とコードを別々に扱うことができ、非常にコンパクトに扱うことができます。
また、たとえば6号の針で作品を編んでいる途中で、別の作品を6号で編む必要が生じたとき、もとの作品の針先だけを外せば、もうひとつの作品にその針先を使うことができ、針先が1つあれば複数の作品を同時に編むことができます。
以上、ざっと見てきました。
いろいろな種類がありますが、好みもいろいろあるかと思います。
竹が好きな人、金属が好きな人、玉付き2本針がお気に入りの人、輪針はちょっと苦手という人、…
また、針先のとがり具合でも好みが分かれるでしょう。
私も好みがあり、それは年々変遷していきました。
かつては某メーカーの竹の針でないとイヤだったのですが、今現在は、真鍮製またはカーボンファイバー製の付け替え式輪針を愛用しています。
ただ、糸の素材によって、針の素材を使い分けるときもあります。
機会があれば、さまざまな編み針を使ってみて、自分に合うものを見つけていくといいかもしれません。
また、これからいろいろな新素材の編み針が出てきてくるかもしれませんね
個人的には、どこかチタン製の編み針を作ってくれないかなーと思うのですが…(高そう)
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