813.暴漢を 傍観視せず 戦った その志 直ぐ流用ですか

 

 6月24日、日本企業も進出している中国の蘇州市で、日本人学校のスクールバス🚌が刃物🗡を持った中国人の暴漢(無職52)に襲われ、バス待ちをしていた日本人の母と男児が負傷した。

 その際、身を挺して彼の襲撃を阻止したバス案内係の胡友平さんが落命した。享年54。

 中国外務省報道官は「警察👮は偶発的な事件だと判断している」と語った1。この事件に反日的背景はないとの主張だが、犯人が偶々スクールバスを襲い、偶々日本人が被害者になったという事実は納得し難い。

 JBpressの近藤大介記者によれば、蘇州市は胡氏に「蘇州市見義勇為模範」の称号を授けるらしい。彼女の遺族は地元紙📰に、

 

 《各方面から慰問を受けており、感謝を申し上げます。このような状況に遭遇したなら、正義と愛の心がある人であれば誰でも同じ対応をしたことと信じます。

 お金や物の寄付については、各地域にある見義勇為基金会に行って下さい》

 

というコメントを発表した。

 近藤氏は、当局が胡氏を利用して中国人の愛国心を鼓舞していると書く。だからこそコメントが完璧なのだろう。

 胡さんの勇気は称賛に値するが、評論家の石平氏の指摘を見逃してはならない3

 

 (1)中国政府は犯行を咎めず、非難もしていない。日本人被害者へのお見舞いの言葉もない。「このような事件は世界のいかなる国でも起こり得る」と主張した。

 (2)中国国内のネット上では、一時、犯行を支持する声が溢れた。「お見事!」、「やった人は民族の英雄だ!」、「これは国を挙げてお祝いすべきではないのか」、「日本人に言う。中国にはお前らに安全な場所は1つもない」

 

 同様の事件が日本で起きて被害者が中国人の場合、北京は、「こんな事件は世界各地で発生する」と高を括るのだろうか。

 2020年、香港では国家安全維持法が成立した。2024年には国家安全条例が施行された。同条例は国安法を補完するもので、スパイ行為など国家の安全を脅かす行為を取り締まる。その一方、政府は愛国教育を強力に推進する。箍(たが)が外れる都度、実態を政治的に糊塗するために愛国が叫ばれることになる。

 さて、2022年7月8日の安倍元総理暗殺後、(2)と同じ書き込みが日本でもあった。「獅子身中の虫」が身近にいることを忘れてはならない。

 

[出典1 2024年6月30日付け産経新聞『主張』胡友平さんを哀悼したい]]

[出典2  https://jbpress.ismedia.jp>articles

【日本人学校バス襲撃事件】死亡した中国人女性を「英雄視 ...東アジア「深層取材ノート」近藤大介(第240回)2024.7.3(参照 2024-7-4)]

[出典3 2024年7月4日付け産経新聞『石平のChina Watch』警戒せよ 第二の「義和団の乱」]