781.こうしろと 言えばああする 奴がいて 説話の意図は お笑いじゃない

 

 『論語』は孔子と弟子の言行録を纏めたもので、儒教の入門書📚でもある。漢文の時間に学んだのは以下の言葉など。

 

 「学びて、時に之を習う。亦(また)説(よろ)ばしからずや」(習う――実践する)

 「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知れば、以って師と為るべし」

 「過ちて改めざるをこれ過ちという」

 「和して同ぜず」(和す――協調する、同ぜず――雷同しない)

 

 簡にして要を得る教えも、ロシアや中国は公私混同

 それはそれとして、『今昔物語』は平安時代末期に成立したとされる作者未詳の説話集だ。「今は昔」で始まる物語にはインドや中国や日本の歴史上の人物も登場する。

 巻第10の第15話は興味深い。孔子は大盗賊と呼ばれる盗跖(とうせき)を諭そうとした。彼は先ず賢人と評判の高い兄に会う。兄は弟が手✋に余ると言ったが、彼は弟の家に行く。

 盗跖は鎧兜に身を固めて剣を帯び、矛を手にして孔子と対坐した。庭には同じ出で立ちの部下が居並ぶ。孔子は、「人の世では道理を身に纏い、公けを敬い尊び、下々の人々を憐れみ、情け深く振る舞うことが大切だ」と説く。盗跖は彼を嘲笑い、賢人でも善政は続かず、殺されることも多い。人の賞賛や非難はせいぜい4、5日続くだけ。善事悪事に拘らず、「好きなようにすればいいのだ」と言った。孔子は反論できず、狼狽(うろた)えたまま彼の家を辞す1

 説得に失敗した孔子を笑う😁べきではない。彼は危険極まる状況でも言うべきことを言った🗣。要点はそこにある。

 さて、地動説🌎を唱えたガリレオが名誉を回復したのは1992年のこと。死後350年経ってヨハネ・パウロ二世⛪が彼の裁判が誤りだと認めた。

 ロシアの暴挙💣はもう3年も続いている。我々は、彼らの後継者過ちを認めるまで待つことはできない。

 

[出典1 大岡玲『今昔物語集』光文社古典新釈文庫、2021年]

[出典2 Wikipedia ガリレオ・ガリレイ(参照 2024-6-3)]