774.水辺には シラサギもいる アオサギも 心和むが 黒詐欺、注意

 

 5月26日夜、NHKEテレが古典芸能への招待で『籠釣瓶花街酔醒』(かごつるべさとのえいざめ)」を放送した。

 これは18世中村勘三郎13回忌追善興行として今年2月の歌舞伎座で演じられたものの1つ。息子の勘九郎と七之助がテレビ📺に登場して父についても語った。

 題名の籠釣瓶とは妖刀と呼ばれた村正の一振り。一旦抜くと必ず血が流れるという伝説がある。花街とは江戸の遊郭があった吉原のこと。

 筆者がよく観た勘三郎は17世。血は争えない。18世も、今回主役の佐野次郎左衛門を初役で演じた勘九郎も雰囲気は同じ。七之助は傾城八ツ橋に同じく初役で挑んだ。彼は少しだけ玉三郎の風情を醸し出していた。

 物語は吉原から始まる。田舎商人の佐野は江戸の土産に遊郭を見物して帰ろうとし、やらずぶったくりの客引きの餌食になり掛ける。それを制止したのが茶屋の主人。その後花魁道中を見た佐野は、傾城八ツ橋に一目惚れ😍して、通い始める。ところが八ツ橋には間夫(愛人、ヒモ)がいる。

 ここで筆者はハタと思い当たる。新宿歌舞伎町原点がそこにある、と。客引き、ぼったくりバー、ガールズバーホストクラブなどでは、男女の恋心や浮気を商売にする。カードローンなどで悲惨な結末を迎えたり、命の遣り取り🔪🔫も起こったりする。

 歌舞伎の演目には実在の事件を取り上げたものも多い。『曾根崎心中』もその1つで、恋に金の貸し借りが絡んでいる。観客は役者の芸を楽しみつつも、憂き世の教訓を学ぶ。

 さて、大泥棒で有名なのは石川五右衛門。彼は、「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」とほざいて釜茹での刑になる。

 今の日本だと、幸か不幸か、窃盗や詐欺では極刑にならない。