762.ジョークなら 笑って済ます 花火だが 成田の花火 死者12人

 

 新聞に花火見物をする理系3人組のジョークがあった1

 

 《美しい大きな花火🎆が上がった時に、「今のはマグネシウムが多いな」と言ったら化学系、「音の遅れから発火点は2キロ先」と言ったら物理系、「仰角が30度だから三角関数が使いやすい」と言ったら数学系といった具合》

 

 成程ねと思い出典を見ると、橋本幸士著の『物理学者のすごい思考法』(集英社インターナショナル、2021年)とある。面白そうなので33頁分を立ち読みした。

 橋本氏によると、この話はジョークではなく実際にあった話だとか。庶民なら夜空に輝く花火の色や大きさを鑑賞するが、専門分野に「どっぷり漬かり過ぎると、花火が美しいという観点が全く変わる」と彼は書く。

 その本にはエスカレーターの話題もある。エスカレーターに乗る時、東京と大阪では左右どちらかに立ち、歩いて上り下りする人のために片方を空ける。橋本氏は、歩行を危険視するなら1列がいいが、2列のままで段差を現在の倍にすれば駆け上がりがなくなると考える。ところが彼は香港で誰もがエスカレーターに2列のまま立つ光景を見て驚く。理由はエスカレーターが高速だったからだ。

 再度、成程ねと思う。発想を転換するには物事を多角的に見なければならない。

 さて、筆者は冒頭の花火の逸話を成田空港✈に書き替えてみた。

 

 「あの土地を死守していたらなあ」と言ったら過激派メンバー。

 「せっかく成田エクスプレス🚆を運行させたのに」と言ったらJR関係者。

 「あれだけの公費と労力は本来必要ではなかった」と言ったら元警察幹部👮。

 

 1978年に開港した成田空港の歴史はジョークにならない。空港建設計画は1960年代に始まったが、共産党や社会党の反対と過激派の暴力闘争(角材、火炎瓶🔥)があって開港が遅れた。その後も闘争が続き、12人の死者を出したが、現在も滑走路は2本のまま2

 

[出典1 2024年5月14日付け産経新聞『産経抄』]

[出典2  Wikipedia 三里塚闘争(参照 2024-5-14)]