732.塩分は 取り過ぎ注意 艶文が 多いとは言え むらさき光る

 

 NHK大河ドラマは1963年に始まった。放送は日曜の夜。最初は幕末の井伊直弼を描いた『花の生涯』。

 筆者が覚えているのは69年に石坂浩二が上杉謙信を演じた『天と地と』。上杉の方が武田信玄よりカッコイイと思った。只、辞世の句「四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒」が示すように、彼は酒好き🍶だった。その上に塩分摂り過ぎが高じ、糖尿病高血圧による脳血管障害で冥府へ旅立った。享年491

 家庭を持ってからの筆者は長尺の大河ドラマを観ていない。今年の『光る君へ』(吉高由里子主演)も例外ではない。しかしNHKEテレが『源氏物語』に纏わる番組を放送しているので、半世紀前に読んだ与謝野晶子の現代語訳を再度手にした。但し図書館で借りたもの。読み進めると、「そうだったな」と思い出す場面が多い。

 源氏物語54帖の文字数は約100万で、400字詰め原稿用紙にすると約2,400枚。70年に亘る物語に500人近い人物が登場し、和歌795首が詠まれている2

 筆者はこの数字に圧倒された。

 確かに筆者はこのブログを今日まで書き、狂歌を732首詠んでいる。文字数は80万になり、登場人物も500人近いだろう。しかし筆者のブログは毎回原稿用紙3-4枚で完結する。一部は登場人物への賛美👏だが、大半は国家や政治家や組織などへの批判😡に終始している。しかも各ブログに前後の繋がりはない。

 一方、紫式部は光源氏から薫大将と匂宮までの生涯を描きながら、主人公やその他の人物の性格喜怒哀楽😄😠😞😊という感情の揺れまでも筆にしている。彼女が執筆したのは平安時代。パソコン💻やスマホ📱がある現代と異なり、情報過多で雑念が生じることは少ないかもしれない。それにしても思考の流れを途切れさせずに物語を完成させたことに頭が下がる。

 さて、文芸評論家の中村真一郎は、こう書いている3

 

 「源氏物語を読んで私達が喜びを感じるのは、只千年前の人の生活が判るという知的な満足ではない。そうではなくて、千年前の人々の日常生活に触れる喜びは、人間の生きている味そのものに接する幸福感である。……。(その世界が)私達の心を生活の疲れから来る人生への無感動という状態から回復させてくれる」

 

 小指の先ほどでもいい。感動を噛み締めよう。

 

[出典1  https://ja.wikipedia.org › wiki ›

上杉謙信 Wikipedia(参照 2024-4-15)]

[出典2  https://ja.wikipedia.org › wiki ›

源氏物語 Wikipedia(参照 2024-4-15)]

[出典3 中村真一郎『源氏物語の世界』2023年、新潮社 p.24]