709.ゲルニカは 何を伝える? 作者には 勲章2つ そうだったのか

 

 テレ朝📺は1カ月に1度くらい土曜日の夜に『池上彰 そうだったのか』を放送する。筆者は時々15分くらい視聴する。

 同番組とは関係ないが、最近「そうだったのか」と驚いたことがある。

 それは福井義高著『日本人が知らない最先端の世界史2』(2017年、祥伝社)を読んだからだ。話題の1つは第3章にある『ゲルニカ』。

 この本📗を読む前、筆者の乏しい知識でゲルニカと言えば、人や牛🐄馬🐎を線だけで描いた何とも珍妙なピカソの絵画。主題は無差別爆撃で破壊されたスペインの町とか。

 現在、巷は2025年の関西万博がどうなるのかで喧しいが、思い出すのは1970年の大阪万博。当時の筆者は大学受験もあり田舎に住んでいたので万博へ行っていない。しかし岡本太郎が制作した『太陽🌞の塔』は覚えている。塔の上と中央にあるデフォルメされた顔が印象的だった。

 それで筆者はピカソや岡本太郎の作品を前衛芸術と思っていた。理解しにくいけれども、心に訴えるものがあれば、「芸術は爆発する」と。

 本を読み終わったら、その認識の一方に影が差した。

 1930年代半ば、スペインではフランコ将軍率いる国民派と人民戦線による内戦⚔が続いていた。1937年4月26日、ドイツ空軍は人口約5,000人の町ゲルニカを爆撃した。その後英『タイムズ』紙などが無差別爆撃で1,654人の死者が出たと報道し、国際的反響を呼んだ。当時既に習作を何十枚も画いていたピカソはこの爆撃を奇禍とし、パリ万博のスペイン館で傑作と言われるゲルニカ(約3.5mx7.7m)を完成させ、7月から一般公開した。

 事実はどうだったのか。これまでの研究では空爆による死者数は120-150人とされ、空爆は軍事目標を狙った合法的なものだとされている。

 「そうだったのか」と思ったが、「ヘェー」と衝撃を受けたのはピカソの政治思想!第二次世界大戦中からパリに住んでいた彼は、パリ解放後にフランス共産党に入党し、1950年にはソ連から〝スターリン平和賞🥇″を、1962年にも〝レーニン平和賞🥇″を受賞している。

 さて、パリに住むロシア国民は、『ハムレット』のように「芸術を選ぶか、思想を選ぶか。それが問題だ」と悩むべきだろうか。その必要はない。両方選択すればいい。

 何故なら、3月23日にNHKEテレが放送した『偉人の年収』によると、ピカソが65年間の画家生活で築いた資産は現在の価格で1,220億円。換言すると年収が18億8,000万円だったからだ。

 

「注 写真はAllendesalazar Street, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons]