691.いわき市へ フラっと出掛けて 見る笑顔 石炭不況が 生んだ輝き

 

 筆者は新聞📰の一面から社会面まで目を通す。訃報欄にも。

 3月4日朝、目に留まったのは小野恵美子さん(79)逝去の記事。彼女は映画『フラガール』(2006年)でダンサー💃役のモデルだった。亡くなられたのは2023年8月だが、お別れ会が3月3日に福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズで開かれた、と1

 筆者が一昔前に観たこの映画は実話に基づいている。主役のダンス指導者を松雪泰子(まどか)が演じ、脇役のフラガールを蒼井優(紀美子)が務めた。紀美子のモデルが小野さん。

 粗筋は石炭需要が減少して閉山を余儀なくされた常盤町がレジャー施設を作って町の再興を目指すというもの。そのレジャーの一環がフラガールによるショーだった。

 映画と同じく現実でも1965年当時、ダンサーの衣装は肌の露出度が多過ぎた。だから地元の男さえ意図を理解せず、女からも反発があった。「裸踊りをさせるのか」と。

 現実と映画の設定との違いは、元プロダンサーだったまどかにやる気がなかったこと。この設定は映画『レディ加賀』に登場するタップダンサー崩れの由香(小芝風花)と同じ。その後まどかはフラガールの成長に情熱を傾ける。

 小野さんは1966年にオープンした常磐ハワイアンセンター(現ハワイアンズ)の初代フラガールのリーダーだった。彼女はフラガール引退後も舞台に立ち、何世代にもわたって後進を育てた。彼女の発案による「フラガールズ甲子園」は、昨年第11回競技大会を開催している。

 さて、今検索して出て来る小野さん達は笑顔に溢れている。その笑顔を見るだけでは分からないが、彼女達の努力信念は並み大抵のものではなかった筈。

 

 「小野さん、フラガールは東日本大震災もコロナ禍も克服しています。そしてあなた方が見せた笑顔は観客も覚えています。彼らも笑顔になりました。ご苦労様でした。」

 

合掌

 

 捕捉:3月4日午後、筆者が偶然視聴したのがNHKEテレの『夏井いつきのよみ旅!in福井』の後編。番組最後に福井商業高校チアリーダー部JETSのOGメンバー4人がダンスを披露した。何よりも光っていたのは笑顔。尚、2006年結成の同部は2009年から2020年までに全米チアダンス選手権大会で9回優勝している。

 

[出典1 2024年3月4日付け産経新聞『天国でも すてきなフラを』]