658.杜甫さんは 国破れたら 山河見る もしそうなれば 誰が笑うか

 

 1月26日から始まった通常国会は、報道に接する限り、「政治と金」に終始している。同日午後、立民の泉代表は、「国民生活を守らねばならない時期に自民党は何をやっているのか。これこそ国難ではないか」と息巻いた1

 今、岸田政権は存亡の瀬戸際に立つ。ブログNo.652でも書いたが、筆者は自民党衰退に危機感を抱いている。

 問題は5つ。

 

 ①   国会が注目するのは内政だけ。

 ②   岸田首相が腹を括らないとしたら、後継者がいない。

 ③   旧民主党を母体とする立民などに政権担当能力がない。

 ④ 自民党衰退は中国とロシアと北朝鮮にとって朗報以外の何ものでもない。

 ⑤ 現下の国際情勢で、野党による日本第一主義は、西欧を含むインド太平洋諸国の民主主義を専制主義の餌食にする。

 

 上記③と⑤について野党は「そんなことは絶対ない」と反論するだろう。そう主張したいなら、旧民主党の「決められない政治2」の殻を打ち破るため、先ず㋐日米同盟、台湾、日米印豪のクワッド、NATOなどについて明確な外交方針を打ち出し、㋑憲法9条改正と自衛隊に対する立場もハッキリさせるべきだ。能天気に「平和憲法」と言い続けても、国際紛争を「交渉と仲裁で解決する」ことはできない。

 1つ補足する。昨年も中国へ参拝した玉城デニー・沖縄県知事は、1月18日、記者会見で台湾の頼清徳副総統へ祝意を表明した。これに対し、中国在福岡総領事館はホームページで、「中国内政への重大な干渉だ」と反発した1。中国は親中派でも完璧な親中派しか許さないので、この反発は「教育」の一環である。

 杜甫が書いた『春望』の「国破れて山河在り」は長閑(のどか)な風景かもしれない。しかし西の「烽火」は既に2年も続いている。

 皆さんにはもう少し自民党政権を見守って戴きたい。

 

[出典1 2024年2月1日付け産経新聞『攻める立民 問われる本気度』、『台湾に祝意 沖縄知事「礼節の範囲」』]

[出典2 2024年2月3日付け産経新聞『産経抄』(民主党化)]