655.かつお節 削れば料理 旨味増す 傑物削除 夢が削(そ)がれる

 

 1988年はどんな年だったか。

 日本は昭和が終わる1年前。六本木のディスコ💃では照明器具落下により3名死亡、14名負傷。女のワンレン・ボディコンが流行。郵便定額貯金の金利は3年以上だと年3.64%🤑(2023年3月なら0.06%)。女子高生コンクリート詰め殺人事件発生。

 海外ではソ連のゴルバチョフ書記長がペレストロイカ(政治改革)推進。中華民国では李登輝総統就任により民主化促進。カルガリー⛸とソウル🏊で冬と夏の五輪開催。イラン・イラク戦争で停戦成立。中国では鄧小平・中央軍事委員会主席の下、趙紫陽総書記と李鵬総理の指導体制確立と、日米欧との外交前進。

 1988年6月、歌手・俳優の武田鉄矢が『竜馬がゆく』📙を書いた司馬遼太郎を大阪に訪ねた1坂本竜馬に心酔していた武田は友達と立ち上げたフォークグループ🎤の名を海援隊にしていた。

 シルクロードに触れた司馬は東洋と西洋がぶつかった人種がウイグル人だと述べ、彼らを野蛮人扱いする困った中国人💪がいると言った。「モンゴル系の人達が住むエリアで中国の公安の扱いが惨(むご)い☠。鋲(びょう)の付いた鞭で人を叩くことが許しがたい」とも語った。武田は、「他の人種に対する上から目線をすごく軽蔑なさった」と述べ、司馬本人からも感銘を受けた😊。

 ここで筆者は驚いた。筆者が国防・外交に目を向け始めたのは、恥ずかしながら89年3月から。中国建国以来、ウイグル人が塗炭の苦しみを舐めてきたこと(ブログNo.123、127、246など)を知ったのはつい最近で、司馬の知見の広さに頭が下がった。

 筆者は、司馬が朝日新聞に連載した小説『花神』(1969-71年)を読んでいたにも拘らず、その後の彼の活動に目を向けなかった。これが悔やまれる。同小説の主人公は長州の村田蔵六(大村益次郎)で、彼は医者でありながらも侍になり、44歳で凶刃🗡に斃れる。後に彼は維新10傑とか日本陸軍創設者とも呼ばれた。

 さて、人と人との出会いは、歴史上の人物との間接的な出会いに勝るとも劣らず夢を与える。

 一方、共産中国の歴史は100年ほどで、多くの傑物を葬り去ろうとしている。

 2021年6月、香港の民主派新聞『蘋果日報』が廃刊に追い込まれた(創始者の黎智英氏(76)は拘留中)。2023年5月、香港の『明報』📰は風刺漫画連載を終了。作者の尊子氏(68)の作品や書籍は公立図書館から撤去2

 志半ばにして斃れた竜馬(31)と益次郎(44)。香港の傑物の命運や如何に。

 

[出典1 2024年1月29日付け産経新聞『話の肖像画』武田鉄矢]

[出典2 2024年1月29日付け産経新聞『香港 笑う自由まで奪われ』、『香港から風刺漫画が消えた』]