525.草の芽が すくすく育つ その形 心の伸びを 書けば性の字 

 

 漢字とは何か。

 紀元前から中国が使っていた表意文字(漢の字)が日本に伝わり、表音文字である仮名(平仮名、片仮名)を振って日本語にしたものだと言える。

 現在の中国は1950年以来画数が多い漢字を、日本で一般的に言う簡体字に変えている。例えば漢字は「汉字」となる。一方、台湾は簡体字を使用していないので「臺灣」となる。

 日本では1946年の当用漢字制定前に使っていた漢字を旧字体と呼ぶ。画数を減らし、𦾔字體が旧字体になった。

 尚、現在も漢字を文字として使うのは日本、中国、台湾だけになっている。韓国では漢字復活の声があるらしいが、北朝鮮と同じくハングル文字だけになっている。世界の漢字人口は15億を超えるので、漢字は立派な文化である。パソコン用語のカタカナ表記もできれば漢字を使いたいものだ。

 日本の漢字でややこしいのは同音異義語の存在である。パソコンスマホメールを送る際、急いでいると漢字を正しく変換しないまま!送信することがある。殆どの場合、何とか意味は通じる。それで思い出すのは、「貴社の記者が汽車で帰社した」などである。

 さて、「性」と書くと、即LGBTが目に浮かぶかもしれない。しかし筆者は先日の新聞1でこの字の成り立ちを(初めてびっくりマーク)学んだ。

 《「性」という字は、「心」と音を表す「生」とからなります。「忄」は心、「生」は草の芽生き生きと伸びている様子で、けがれ(穢れ)のないことを表しています。生まれつき持っている穢れのない心という意味があります。》

 

 まるで性善説の説明である。

 筆者は「草の芽が生き生きと」を小さい家庭菜園で実体験している。何種類もの元気な草クローバーが1週間もすれば茎や葉や根を伸ばす。牧野富太郎ではないが、雑草と言う名の草がないのを承知の上で、水や肥料を有効利用するために何度も何度も雑草を抜いている。

 とは言え、草と同じく筆者も穢れなく生きたい。それが本性であり、「本性を現す」という誤った事例(性悪説?)にはなりたくない。

 

[出典1 2023年9月17日付け産経新聞『漢字と仲良く』「性」町山一祥]