464.安保理は 知恵がないなら 金を出せ 穀物輸出 途上国待つ

 

 2023年7月17日、ウクライナ産穀物輸出合意からロシアが離脱した。つまりウクライナは黒海経由で穀物を安全に搬出することができなくなった。事実、露軍は18-19日、オデッサなどをミサイルやドローンで攻撃している。

 この事態を受けた国連安保理は公開会合を開いた。中南米などの途上国への経済的打撃が特に大きいという批判と合意復帰を求める声が相次いだ1

 豊臣秀吉は小田原評定(1590年)を奇禍として北条氏を滅ぼした。安保理は1814年のウィーン会議の「会議は踊る……」を繰り返してはならない。

 筆者は1つ提案する。

 ロシアに何を言っても通じない状況で、何をどうするか。それは途上国を含めた各国がトルコによる事態打開を進言することである。

 トルコ海軍は兵員52,000人で180隻の艦艇を運用している2。主力は米海軍が開発したオリバー・ハザード・ペリー級のフリゲート艦8隻である。その1隻が、ウクライナの穀物運搬船団をオデッサからイスタンブールまで護衛する。距離は約334海里。穀物船団が時速12ノットで航行すれば約28時間でマルマラ海峡を抜けて地中海へ出ることができる。

 さて、船団護衛には費用が掛かる。フリゲート艦(LM2500ガスタービン2基)が使う天然ガス(LNG)が$0.75/ℓとすれば、1時間当たりのLNG消費量は$14,108になる3。つまり片道だけで$14,108x28=$395,024≒40万ドルが必要となる。

 安保理がトルコに対し護衛を共同訓練として納得させることができれば、毎回40万ドルの支出を関係各国が応分に負担すればいい。トルコの決断はロシアを除くどの国からも非難される筋合いのものではない。

 尚、ロシアが懸念するとされる民主主義国家による黒海経由でのウクライナへの兵器運搬は、トルコが1隻ずつ臨検すれば済む。臨検に中国を参加させれることが無理なら、BRICS加盟の南アメリカやインドやブラジル代表団を加えればいい。

 安保理は今こそ船団護衛を実行しろ。

 

[出典1 2023年7月19日付け産経新聞『「ロシア抜き」輸出模索』]

[出典2  https://ja.wikipedia.org › wiki ›

トルコ海軍 Wikipedia(参照 2023-7-20)]

[出典3 OpenAIによる試算(参照 Q&A 2023-7-20)]