448.歳取ると 骨抜き魚 うれしいが 背骨なければ 魚泳げず

 

 福島第一原発処理水海洋放出問題がまだ燻っている。

 この問題についてはブログNo.235(増田明美・元マラソン選手)、345(1+1=-2)、411(釜山の水産市場)で触れ、根も葉もない外圧を批判した。

 今回は外圧ではなく内部からの無神経な発言である。

 2023年7月2日、山口那津男・公明代表は福島へ行き、処理水の海洋放出について「海水浴シーズンにわざわざ開始する理由も特にない。その点を考慮し、慎重に対応してもらいたい」と記者団と語った1。彼は「風評被害を招かないことが大事」と強調したのだろうが、処理水が海水浴客に危険な影響を及ぼすという誤解を生じさせた。これを藪蛇、或いは「小さな親切、大きなお世話」と言う。自民の佐藤正久議員や日本維新の柳瀬裕文議員なども「科学的でない」と異を唱えているが、当然の反応だ。

 主夫の筆者はスーパーで福島産の魚の丸物を見付けると、新鮮さと値段が折り合えば躊躇なく購入する。米や牛肉でも福島に偏見はない。

 筆者が公明代表で現地にいたなら、市長と県知事双方に面談して、こう言う。

 

「予め教えていただければ、県内の海水浴場が海開きをする日に私も仲間を連れて参加します。但し私の水着姿だけは大写しで撮らず、遠くからにしていただきたい。(処理水で飼育した)ヒラメやアワビを出し、二本松のお酒を飲ませてくれる居酒屋を後で教えてください。朝食は干物と海苔の佃煮で食べたい」

 

 さて、山口代表はなぜあんな発言をしたのだろうか。

 2つ理由があるような気がする。1つはメディアへの露出度が最近少ないと感じていた。発言に解釈の余地がある内容を入れれば、後で、「いやいや、真意はこうなんですよ」と笑って説明する機会が増える。

 もう1つは外圧を充分考慮している国際政治家であることを訴えたかった。公明は内政重視だけれども外交でも明確な立場を打ち出している、と。国会でのウイグル関連決議を遅らせ、骨抜きにする力もある、と。

 尚、韓国原子力学会首席副会長の鄭釩津・慶熙大教授は、6月の産経新聞の取材に対し、処理水放出延期について、「慎重に対応し過ぎれば、何か隠蔽しているとみられる」ので、日本政府は放出を遅らせるべきではないと述べている2

 

[出典1 2023年7月4日付け産経新聞『「風評招く」与野党批判』奥原慎平]

[出典2 2023年7月4日付け産経新聞『日本は処理水放出 遅らせるな』時吉達也]