310.e-Tax 記憶を辿り 四苦八苦 詐欺対策に 転用可能か

 

 2月16日は毎年やってくる。バレンタインデーの2日後だが、頬が緩むという雰囲気は全く残っていない。

 実のところ「またか」という意識は11月から12月に掛けて芽吹く。〇〇保険料控除証明書などが配達されるからである。その時はクリアファイルに入れるだけ。正月気分が抜け頃から「そろそろ整理を」という思いが頭を過(よぎ)り始める。

 現役時代は会社が年末調整をしてくれたので、確定申告など頭の隅にもなかった。しかし退職後は年金生活者にも拘わらず、確定申告を毎年している。税務署が必ず「〇〇年度分所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」を送ってくるからだ。読みにくい40ページもある冊子を前に、領収書の束や数字と格闘する。

 2021年1月、そんな状況がやや改善したと思ったパソコンを利用できるe-Tax知ったからである。最初は戸惑った。「次へ進む」をクリックしても、指が止まることが多かった。「送信前の確認用」書類が完成すると、「フー」と溜息を吐いた。疑心暗鬼の中、書類を送信した。手書きの書類と分厚い証明書の束を大きな封筒に入れて郵送することがなくなった。

 2022年2月15日、クリアファイルの証明書などを取り出し、楽勝だと思いつつパソコンに向かった。ところが1年前の手順は脳裏からすっぽりと抜け落ちている。それでも2日ほど掛けて申告を済ませた。6月に還付金の入金があった。「ええっ!」と思いつつ、ニヤリとした。どこがどうなったのかはそっちのけ。

 8月、「税金の滞納があるので下記の指示に従って支払いを済ませてください」というメールが届いた。還付金があったので、これはフィシング詐欺だと見做し、即削除した。その後3回も同様のメールが来た。

 2023年2月14日、バレンタインのチョコは愚妻から。カロリーを気にしながらも1つ口に入れ、クリアファイルの中身を確認した。15日、夕食の下拵えをした後、パソコンに向かった。矢張り1年前のことは忘れている。税務署に1度電話をし、2時間弱で書類は完成。計算の手間が省けるe-Taxは楽である。

 さて、話は飛ぶ。オレオレ詐欺フィシング詐欺をする連中についてである。警察や国税庁や市役所は、マイナカードを登録していないとか、年末調整や確定申告をしていない輩の一覧表データベース化してはどうか。そういう事件が起きた時、発生場所をデータベースに入力すれば、怪しげな物を洗い出すことが可能になるかもしれない。職質すれば彼らがボロを出すような気がする。これを担当する部をデジタル庁に創設するのも一計だと思う。

 因みに、2020年の被害総額は,架空料金請求詐欺(約80億円)、オレオレ詐欺(約68億円)、預貯金詐欺(約58億円)、キャッシュカード詐欺盗(約43億円)、還付金詐欺(約25億円)、金融商品詐欺(約4億円)、融資保証金詐欺(約4億円)などである1。そんなデータベース作成が人権侵害になるという向きもあるだろうが、庶民、特に高齢者の懐から毎年282億円余りが消えるのは大事件である。

 

[出典1  https://hakusyo1.moj.go.jp › nfm

令和3年版 犯罪白書 第8編/第3章/第3節/2(参照 2023-2-16)]