257.戦費とは 侵略ならば 濫費なり 国守るなら 防衛費なり

 

 近代日本の大きな戦争と言えば、日清戦争(1894-95年)、日露戦争(1904-05年)、日中戦争・太平洋戦争(1937-45年)である。

 戦費は日清が2億円強、日露が18億円強、日中・太平洋が2,036億円1国家予算(歳入)は1895年が1億円強、1905年が5.4億円、1945年が235億円だった2。つまり日本は日清で当時の国家予算の2倍、日露で3倍強、日中・太平洋で9倍弱を費消した。

 ロシアは2023年の政府歳入を26兆ルーブル(約57兆円)とし、歳出を29兆ルーブルと想定している。そのうち軍事費は5兆ルーブル(約11兆円)で、22年当初の3.5兆ルーブルから大きく増え、国家安全保障・治安維持費も2.8兆ルーブルから4.4兆ルーブル(約9.6兆円)に増える3

 因みに2021年の日本の防衛関係費は5.1兆円4で、警察庁・都道府県警察予算は3.6兆円だった5。日本の国家予算は106.6兆円だったので6、ロシアの国家予算に占める軍事・治安維持費は異常に高い。

 日本が太平洋戦争を4年8カ月余り戦ったことを考慮すると、ロシアが軍隊を国境まで撤退させるまでには、最低でも5年掛かるかもしれない。ただし当時の日本軍は一億玉砕まで考えていて、国民は軍部の方針に逆らうことはできなかった。

 さて、クレムリンによる言論統制は厳しいが、SNSはロシア国民にも浸透していて、Z世代(Rus-Z)がいる。

 Rus-Z世代に何ができるか。この長期戦短期で終息させる役割を果たすことができる。先ず動画で「Не война, а мир(Not War But Peace、ニヴァイナ・アミル)」をロシア国内に訴えて欲しい。(注 ブログNo.247)

 ベトナム戦争(1964-1975年)当時、米国でも日本でも反戦運動が盛り上がり、米軍兵士にも厭戦感情が生まれた。1986年にはフィリピンのマルコス大統領の独裁体制を批判する大衆運動が起こり、2月の大統領選挙ではアキノ大統領が誕生した。この運動はピープルパワー革命と呼ばれた。2022年11月、中国では政府のゼロコロナ政策に反対する運動が国内中国各地で起こり、北京が同政策を緩和した。

 こうした事実を考慮し、Rus-Z世代が反戦の声を大にすれば、ロシア軍内部でもロシア正教会内部でも同調する人が増えるはずである。

 今となっては、Rus-Z世代しか国際社会で国家としての名誉を貶(おとし)めたロシアを立て直すことはできない。ロシア軍の撤退が早ければ早いほど、ロシア国民の生活立て直しも早くなる。君たちの行動を期待する。

 ただし、ウクライナ復興と損害賠償請求は別次元の問題である。天然ガスの無償提供も損害賠償手段になる。

 

[出典1 https://www.teikokushoin.co.jp › history › detail

戦争別戦費|歴史統計|株式会社帝国書院総務庁「日本長期統計総覧」(参照 2022-12-15)]

[出典2  https://www.petitmonte.com › カテゴリ › 政治・経済・生活

明治から平成の歳入、歳出の年間推移 - プチモンテ(参照 2022-12-15)]

[出典3 2022年12月15日付け産経新聞『露 国防に予算30%超』]

[出典4 https://www.mod.go.jp>publication>wp2021>pdf

防衛関係費(参照 2022-12-16)]

[出典5  https://www.npa.go.jp>yosan>kaikei>yosankanshi_kourituka

 令和4年度警察白書第7章(参照 2022-12-16)]

[出典6 https://www.nta.go.jp>about>introduction>torikumi>report>2021

Ⅰ 国税庁について|国税庁レポート2021(HTML)(参照 2022-12-16)]