226.ODA もらってニッコリ するだけで なびく国々 決議に反対

 

 ODAとは開発途上国の経済発展を支援するための政府開発援助(Official Development Assistance)のことである。公的機関またはその実施機関が供与し、経済開発や福祉向上への寄与を目的とし、有償資金協力の場合、貸付条件(金利、償還期間等)を受取国に有利なように設定する1

 中国の一帯一路政策はこれにほぼ該当するが、スリランカなど多くの被支援国は債務で悩んでいる。

 2022年11月14日、財務省は、ODAによる無償資金協力がロシアのウクライナ侵攻を非難する国連決議に反対した国へも供与され、18カ国で計138億円になったと発表した。国連安保理は今年3月から10月までに同様の決議を4度採択したが、その18カ国はいずれかの決議に反対している。主な国はラオス、ベトナム、イランなどである2。誰が考えても、天然ガス供給停止や穀物価格高騰の原因を作ったロシアへの同調と食糧援助受領などは両立しない。

 さて、138億円は多いのか少ないのか。

 日本はODA名目で中国に経済援助をしてきた。これは1979年から始まり2021年度末で終了した。内訳は有償資金協力(円借款)が約3兆3,165億円、無償資金協力が約1,576億円、技術協力が約1,858億円(注 金額は2020年度時点のもの)3。総額3兆6,599億円。

 中国は日本に感謝しているのか。〝それとこれとは違う″という態度を貫いている。2008年12月には初めて中国公船2隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入した。以後侵入は繰り返されている。2010年9月、中国船が、違法操業を取り締まっていた海上保安庁の巡視船2隻に体当たりをして損害を与えた。海保は同船の船長を逮捕したが、那覇地方検察庁は同船長を処分保留で釈放した。当時の民主党菅直人政権はこの措置を容認している4。ただし釈放と容認の前後関係は不明である。

 2022年9月28日、鳩山由紀夫元総理は衆議院議員会館で行われた日中国交正常化50周年記念大集会で登壇した。彼は、「(尖閣諸島は2012年に)国有化の話になって、中国も領有権を主張しなければならないということで、定期的に(中国の)船が出てくるようになった。……。もう一度棚上げすればいいだけの話じゃないですか」と述べた5

 一説によると、総理になる前の鳩山氏は実家から毎月1,500万円のお小遣いをもらっていた。どうやら金銭感覚が庶民と異なると、国の主権や領土には無頓着になるらしい。

 紀元前に生きた司馬遷の文章には「命を鴻毛の軽きに比す」とある。これは「大切なもののためであれば、命を捨てても惜しくないことのたとえ」だと解説されている6

 鳩山氏の肩書は鴻毛より軽いか、それとも重いか。考慮時間は10秒とする。

 

[出典1 https://www.mof.go.jp › policy › economic_assistance

ODAの定義 - 財務省(参照 2022-11-15)]

[出典2 2022年11月15日付け産経新聞『露非難反対国に138億円』]

[出典3 https://www.nippon.com>japan-data

政党交付金:2022年の年間総額315億円 うち自民党に159億円(参照 2022-11-15)]

[出典4 https://ja.wikipedia.org>wiki>尖閣諸島中国漁船衝突事件

尖閣諸島中国漁船衝突事件 - Wikipedia(参照 2022-11-15)]

[出典5 2022年11月15日付け産経新聞『「元首相」鳩山氏の妄言』坂井広志・論説員]

[出典6 https://kotobank.jp>word>命を鴻毛の軽きに比す-2236524

命を鴻毛の軽きに比すとは - コトバンク(参照 2022-11-15)]