129.モーガンと イーストウッドは 悩むかも インビクタス後 「改心」処理で

 

 先日、テレビが映画『インビクタス(負けざる者たち)』を放映していた。クリント・イーストウッドが監督で、モーガン・フリーマンがネルソン・マンデラ南アフリカ共和国大統領を演じている。筆者は何年か前にもこの映画を観ている。2人共筆者が好きな役者である。なお、映画の題名は日本語で『負けざる者たち』となっているが、筆者は『屈しない者たち』としたい。

 映画はアパルトヘイト(人種隔離政策)を背景にし、27年間も投獄されていたマンデラ大統領の就任直後の2年ほどを描きつつ、南アフリカ代表のラグビーチームラグビー「スプリングボクス」に焦点を当てる。ハイライトは自国開催の1995年ラグビーワールドカップ決勝戦で、相手はニュージーランド代表オールブラックス1

 オールブラックスの黒いユニフォームとマオリ族の踊りは2019年秋に日本で開催されたワールドカップでも目を引いた。この時優勝したのが南アフリカで、3位がニュージーランド。日本代表の笑わない稲垣啓太や小柄な田中史朗が印象深い。

 イーストウッドはテレビドラマの『ローハイド』の後、映画『ダーティハリー』で一躍有名になった。1992年公開の許されざる者は監督兼主演。筆者は主人公の老いたマニーの設定に惹かれた。彼は列車強盗や保安官殺しという過去を持つも、11年前に女と出会って改心し、結婚するが病気で妻を失う。生活苦から友人のネッド(フリーマン)と一緒に賞金稼ぎになり、ならず者2人を狙う。しかし彼らは袋叩きにされる。最後の場面となる酒場ロックグラス生ビールでは、マニーが、「ネッドの遺体を埋葬しろ。娼婦たちをもっと人間らしく扱え」と言って立ち去る2

 この映画ではならず者2人と保安官が娼婦たちや町の人たちにとって〝許されざる者″だが、マニーも本来なら〝許されざる者″の1人だった。前者と後者との違いは、改心したかしないかである。

 さて、イーストウッド(92歳)とフリーマン(87歳)の2人が新たに映画『改心』を共作すれば、「キリスト十字架の弟子たちを迫害していたサウロ(後のパウロ)は、ダマスコに向かう途中、復活したキリストと出会い、迫害者から信仰者に変わった」(使徒言行録9章1~22節)を主題にするかもしれない。

 しかし、と筆者は考える。国連の5大国拒否権が念頭にあったかどうかは別として、8月8日、グテレス事務総長は日本記者クラブで〝匙を投げた″と受け取られるような発言をした4

 となればイーストウッドとフリーマンは改心の程度を2つに分けた映画の結末を演出するかもしれない。

 

[出典1 https://ja.wikipedia.org>wiki>インビクタス>負けざる者たち

インビクタス/負けざる者たち - Wikipedia(参照 2022-8-8)]

[出典2  https://ja.wikipedia.org › wiki › 許されざる者_(1992年...許されざる者 (1992年の映画) - Wikipedia(参照 2022-8-8)]

[出典3 https://www.st-joseph.ac.jp>high>kochoblog>2017/01>post-221

回心と改心 | 校長ブログ | 中学校・高等学校|聖ヨゼフ学園(参照 2022-8-8)]

[出典4 2022年8月9日付け産経新聞『ウクライナ停戦「困難」』