117.負け戦(いくさ) 覚悟の上で 戦うは 足元見ない 見栄張る君(くん)か

 

 2022年7月10日、滋賀県知事選挙の投開票が行われた。結果は以下のとおりである。

 三日月大造、無所属現:53万460票(当選)

 小西喜代次、共産新:8万301票

 三日月知事は旧民主党を選挙母体にしているが、今回の選挙では自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党、社民党の5党から支援を受けた。筆者が問いたいのは、彼の公約でも与党の推薦でもない。小西氏を推した共産党のことである。

 共産党は税金である政党補助金を受け取らない。しんぶん赤旗はこれについて、「共産党は国民本位の政治を貫くためには、国民との結びつきを通じて自主的に活動資金をつくるべきだと考えています。このため政党助成金や企業・団体献金をいっさい受け取らず、党費や「しんぶん赤旗」購読料、個人からの寄付など、党員と支持者、国民から寄せられる「浄財」だけで活動資金をまかなっています」と書いている1

 同党の立ち位置は理解できる。しかし筆者が納得できないのは、共産党が知事選で勝ち目がない72歳の小西氏を立候補させたことである。53万票と8万票は、誰が考えても事前の票読み誤差にはならない。知事選が無投票決着であれば、県も市も人件費や立て看板設置費用などを支出しなかった。小西氏も選挙用の車🚙を何百キロも走らせる必要はなかった。同党にはこんな事例が多い。

 共産党政治資金収支報告書(2020年4月1日受付)によると、2019年の収入(前年からの繰入を除く)は約204億5,400万円。党費が約6億100万円(約2.9%)、しんぶん赤旗などの機関紙誌収入が176億5500万円(約86.3%)を占める2。因みに党費は党員の実収入の1%とし、月別又は一定期間分を前納する。(注 しんぶん赤旗購読者数は1980年の355万部をピークに減少を続け、2019年9月半ば時点で100万部を割ったようである3。)

 党費や購読料や浄財は〝1日8時間働いた″汗の結晶である。それをむざむざ負け戦に投入することに意義があるとは思えない。選挙運動が党員結束を証明する柱になっていても、理性的な判断は必要である。芥川賞作家📖の松本清張は、「憧れよりも足元を見つめろ」と言っていた4

 産経の杉本康士・政治部編集委員は、共産党を「確かな野党」であると褒めている5。〝確か″なら、共産党には先ず足元の無駄をなくしてもらいたい。政府の無駄使い追求はその後だろう。

 言うまでもないが、事が国防となれば、旗色が悪くても戦わなければならない。国の存亡が懸かるからである。

 

[出典1  https://www.jcp.or.jp › akahata › aik20 政党助成金なぜ受け取らない? - 日本共産党(参照 2022-7-11)]

[出典2 https://www.soumu.go.jp>senkyo>seiji_s>seijishikin>reports

政治資金収支報告書 - 政党本部|日本共産党中央委員会 - 総務省(参照 2022-7-25)]

[出典3  ja.wikipedia.org > wiki > 日本共産党 – Wikipedia(参照 2022-2-14)]

[出典4  NHK先人たちの底力 #知恵泉 2022年7月26日放送「#松本清張 “新たなジャンル”を創り出せ!」]

[出典5 2022年7月29日付け産経新聞『真相解明へ「共産」頑張れ』政治月旦 杉本康士]